InDesign 1.0Jのカーニングは[オプティカル]と[メトリクス]の2種類がありましたが、2.0Jでは[オプティカル][メトリクス][和文等幅]の3種類になりました。それぞれどのようなカーニングがなされるか見ていきたいと思います。
まず[和文等幅]ですが、ユーザガイド(P.135)によると「日本語OpenTypeProフォントのようにフォントにツメテーブルのデータが含まれている場合にもそのテーブルを無視してすべて等幅で組むためのもの」とあります。[和文等幅]では、欧文に含まれるカーニングも無視されるそうで、フォントの持つツメテーブルを利用して文字を詰めたい場合には[オプティカル]か[メトリクス]を使用するとあります。つまり[和文等幅]が選択されていると和文・欧文とも詰めはなされないようです。
次に[メトリクス]ですが、ユーザガイドによると、多くの欧文フォントに含まれているペアカーニングを使用して文字を詰めるとの事です。ペアカーニングとは、特定の文字の組み合わせのアキに関する情報だそうで、例としては、LA、P.、To、Tr、Ta、Tu、Te、Ty、Wa、WA、We、Wo、Ya、Yo、yoなどがあるそうです。試しにHelvetica Mediumで組んだものに[メトリクス]を適用したものが下図です。
「W」と「e」の間のカーニングは「−18」になっており、その他の部分のカーニングは「0」になっていました。ペアカーニングの情報が含まれている箇所のみカーニングがかかるようです。リュウミンや新ゴなどのCIDフォントでも試してみましたが、これらのフォントにはペアカーニングの情報は持っていないようで、カーニングは「0」でした。つまり和文フォントなどでペアカーニグの情報を持っていない場合には[メトリクス]を選択しても効果は得られないようです(小塚明朝Proや小塚ゴシックProは、ペアカーニグの情報を持っている為、カーニングがかかります)。
次に[オプティカル]を見てみましょう。下図はリュウミンBと新ゴMで組んだものに[オプティカル]を適用したものです。それぞれのカーニング値を参考にして下さい。
[オプティカル]はユーザガイドによると「隣り合った文字間のアキを文字の形に基づいて調整する」とあります。文字の形によってカーニングが変わりますので、文字によって詰まったり、広がったりしています。
Adobeによると[メトリクス]も[オプティカル]も基本的には欧文に対して使用する機能だそうで、和文に詰めを適用したい場合には[文字詰め]の使用を推奨しているようです。
(追記 2002.3.19)
Adobeのマッカリーさんから、メールをいただきました。
[和文等幅]では、欧文に含まれるカーニングも無視されると記述いたしましたが、実はこれマニュアルの間違いだそうで、[和文等幅]は、欧文を[メトリクス]、和文のカーニングは「0」にする設定だそうです。ですから欧文はカーニングされるとの事です。