当BBS(No.290)にて、ご質問をいただいた件について、そのドキュメントを送っていただきましたので、検証した結果をご報告させていただきます。まずは下図をご覧下さい(一部文字を●に変更してあります)。
1行45文字の縦組みのドキュメントです。45文字目(行末)にきた句読点は2分アキ、つまり全角になるよう[文字組みアキ量設定]で設定してあり、46文字目に句読点がきた場合は、ぶらさがるように[ぶら下がり方法]は[標準]に設定してあります。AとBは同一ドキュメトンの異なるページの一部分ですが、45文字目に句点がきているにもかかわらず、
Aでは正常に行末約物が全角に、
Bではなぜかぶらさがりになっています。
特におかしな設定はどこにもなく、色々と試した結果[1行目のインデント]を3.25mmから3.249mmなどの微妙に小さい値に変更することで正常になることがわかりました(図C参照)。
また送っていただいた、もうひとつのドキュメントでも同様の現象があり、この場合も級数を11.5Qから11.499Qなどの微妙に小さい値にすることで正常に配置されました(図D・図E参照)。
ただ今回のケースの場合、自社の[文字組みアキ量設定]を作って使用されていましたので、ドキュメントごとに級数やインデントで調整するよりも[文字組みアキ量設定]を下図のように設定された方がスマートかもしれません。その方が後々制作するドキュメントでも問題が起こりにくいと思われます。
上図が元の設定で、下図が変更後の設定です。
InDesignでも他のレイアウトソフトと同じように、内部的にはポイントで処理されているので、級数→ポイントへの単位換算の誤差から上記のような結果になったのではないかと推測していますが、皆さんはどう思われますでしょうか。
(追記 2002.2.26)
この件につきまして、アドビシステムズの方からメールをいただきました。
この単位換算の誤差ですが、実は2.0Jで発生している既知の不具合だそうです。
この現象は、
- 特定の文字サイズ(たとえば9Q)でフレームグリッドのグリッド文字サイズを級数指定したとき
- [ぶら下がり方法]で[標準]が選択されているとき
- [文字組みなし]あるいは[約物全角]の文字組みセットが選択されているとき
に見られる現象で、段落一字下げを行わなくても再現することができるそうです。
回避方法(たとえば9Qのグリッドで問題が起こっているとする)
- 問題の起こっているフレームグリッドを選択する
- [フレームグリッド設定]ダイアログを開く
- 文字サイズボックスに「6.378 pt」と入力する(入力後にこのコントロールからクリックアウトすると単位が自動的にQに変換され、UI上は「9Q」と表示される)。
- OKボタンをクリックしてダイアログから抜ける。
- いったんこの方法で修正されたフレームは、その後ドキュメントを開いたり閉じたりしても再びズレが生じることはないそうです。
また、段落インデントを[文字組みアキ量設定]で指定する場合にひとつ注意事項があるそうです。
それは、InDesignの文字組みスペースはEdicolorと同様にトラッキングされた相対的なグリッドサイズではなく「Em box」の絶対サイズを基準としているため、1歯詰めなどでトラッキングのかかった段落で一字下げをした場合に、字下がりにトラッキングが考慮されないとの事です。
(追記 2002.7.2)
上記症状と似た現象がAdobeのテクニカルソリューションデータベース サポート文書番号221903・221894に報告されています。これらの症状は、2.0.1Jで修正されているそうですが、221903の症状の場合、2.0Jで作成したドキュメントを2.0.1Jで開くと、文字組みが再計算されるため、文字組みのレイアウトが崩れたり、文字がリフローする場合があるそうなので、注意が必要です。
また、221894の症状の場合は、2.0.1Jにアップグレード後、再度ドキュメントを開き、全ストーリーの再計算を実行することで解決するそうです。この場合も、2.0.1Jで開いた段階では、文字組みのレイアウトが崩れる事はないそうですが、テキストを編集した場合には、リフローが発生する場合があるので要注意です。
なお、入稿されたInDesignのドキュメントのバージョンを確認するには、そのドキュメントを開き、
(Mac版)commandキーを押しながら、Appleメニューより[InDesignについて]を選択し、コンポーネント情報を確認します。
(Windows版)Ctrlキーを押しながら[ヘルプ]メニューから[InDesignについて]を選択し、コンポーネント情報を確認します。
詳細は、テクニカルソリューションデータベース サポート文書番号221886参照して下さい。
上図ダイアログの[全角バージョン]と[ドキュメントヒストリー]を参照して下さい。2.0.1Jで作成したものは[2.1]と表示されます。