InDesign CS5 & 5.5

No.23 EPUB書き出しの変更点

EPUBファイルの書き出しは、InDesign CS3から可能でしたが、CS5でいくつか機能強化がなされています。今回は、追加された機能等を紹介していきたいと思います。

まず、メニューの名前が変わっています。CS4では[ファイル]→[Digital Editions用に書き出し]となっていましたが、CS5からは[ファイル]→[書き出し先]→[EPUB]となりました(下図参照)。名前は変わりましたが、基本的な動作は同じです。



次に[Digital Editions書き出しオプション]ダイアログを見てみましょう(ダイアログの名前はなぜかCS4の時のままです)。



一部、項目が移動しているものもありますが、いくつか追加された項目があります。
まずは、[一般]パネルです(上図参照)。[固有の識別子]という項目が追加されています。EPUBファイルには固有の識別子が必要となりますが、この識別子が入力可能になったわけです。なお、空欄の場合には、自動的に識別子が作成されます。



次は[画像]パネルです(上図参照)。ここは特に変更点はありません。



最後に[目次]パネルです(上図参照)。[目次]のカテゴリーに[第1レベルのエントリを改章として使用]という項目が新たに追加されました。CS4までは、書き出したEPUBファイル内には1つのXHTMLファイルしか含まれていませんでした。そのため、新しい章をページの頭から表示させることができず、あまり見栄えがよくありませんでした。
[第1レベルのエントリを改章として使用]にチェックを入れることで、章ごとに(第1レベルに指定した目次単位で)XHTMLファイルが分割され、新しい章は必ずページの頭から表示することが可能となりました。
なお、目次を書き出す際には[ドキュメントの自動エントリを禁止]にもチェックを入れておくとよいでしよう。ここがオフのままだと目次の文言に自動的にファイル名が付加されてしまいます。

なお、InDesign CS3・CS4の場合には、SigilのChapter Breakの機能を使用することで、XHTMLファイルを分割し、改章することが可能です。
操作方法は、目的のXHTMLファイルを開いて改章したい位置にカーソルをおき、ウィンドウ右上にある「Chapter Break」ボタンをクリックすればOKです(下図参照)。
※Sigilとは、EPUBフォーマットに対応した電子書籍エディタです(オープンソース)。無償でダウンロードできますので、一度試してみると良いでしょう。



また、フォントの埋め込みも動作が変わっています。[埋め込みフォントを含む]にチェックを入れたEPUBファイルを書き出した場合、CS4まではフォントファイルをそのままEPUB内にコピーしていたため、フォントのライセンス的には問題がありました。CS5では、サブセット(使用している字形のみ)でフォントを埋め込むように仕様が変更されています。そのままフォントファイルをコピーしているわけではないので、ライセンス的には問題がないのではないかと推測しますが、私は責任を持てませんのでフォントを埋め込む場合には必ずフォントメーカーに確認してください。
※iBooksの場合には、フォントを埋め込んでも無視されます。

なお、CS5で小塚明朝のRやB、小塚ゴシックのB等、一部の小塚フォントを使用したドキュメントからEPUBファイルを書き出した場合、[埋め込みフォントを含む]にチェックを入れているとアプリケーションが落ちるという不具合がありますので注意してください。


その他の変更点としては、Study Room CS4 No.24のケースのように、和文テキストの部分が「?」で表示されるといったことがなくなりました。これは、すべての要素にxml-lang属性が追加されるようになったからですが(下図参照)、本来、html要素のみにxml-lang属性が記述されているべだと思われます。



なお、書き出したEPUBファイルをどのように編集すべきかに関しては、DTP Transitの「InDesignから書き出したXHTMLファイルのソースコードの整形」が非常に参考になりますので、参照されるとよいかと思います。

●iBooksでの日本語表示
これまで、iPadのiBooksでは、和文テキストの部分には自動的にヒラギノ角ゴ(W3またはW6)が適用され、ユーザーがフォントを変更することはできませんでした(欧文テキストの部分は、メニューから欧文フォント6書体のいずれかを指定可能)。しかし、バージョン1.1.2からだと思われますが、ヒラギノ明朝(W3およびW6)を使用することも可能となっています。
CSSのfont-familyに、下図のように和文と欧文の両方でフォント名を記述すればOKです(どちらか片方だとダメです)。これにより、1つのEPUBファイル内でヒラギノ角ゴProNとヒラギノ明朝ProNのW3とW6の計4書体が使用可能になったわけです。
※ヒラギノ明朝が使用できるのはiPad用のiBooksだけで、iPhone用のiBooksではヒラギノ明朝で表示できませんでした。



余談になりますが、iBooksには英語辞書と日本語辞書の両方が搭載されています。しかし、InDesignから書き出されるEPUBファイルをiBooksで表示させた場合、そのままでは英語辞書が使用されます。日本語辞書を使用できるようにするためには、EPUBファイルを解凍して.opfファイルを開き、下図のようにlang属性を「en」から「ja」に変更します。



なお、EPUBファイルをSigilで開き、Toolsメニューから[Meta Editor]を選択して、[Languege]を「English」から「Japanese」に変更することでも、日本語辞書に切り替えることが可能です(下図参照)。