InDesignでは、バージョンが上がるたびにEPUB書き出しの機能も少しづつ向上しています。CCでも、いくつかの機能が向上していますので、ご紹介していきます。
目次ストーリー/索引ストーリーのサポート
InDesignの目次機能を使って作成した目次テキストは、編集されている場合も含め、EPUBの目次やストーリーとして書き出すことが可能になりました。CS6でもEPUBストーリーに書き出すことはできましたが、編集内容までは保持されませんでした。CCでは目次を編集した場合でも、編集後の内容がEPUBのストーリーとして書き出されます。また目次を別の箇所にコピー&ペーストした場合でも、ハイパーリンクは動作するようになっています。
上図は、InDesignの目次機能を使用して作成した目次に、あとからテキストを追加したものです。この状態でEPUBを書き出すと、下図のようになります。
リーダー(iBooks)の目次には編集内容が反映されていませんが、本文テキストの目次には編集内容が反映されているのが分かります。
さらに、索引ストーリーもサポートされました。EPUBとして書き出された索引ストーリーにはハイパーリンクが設定されており、EPUBに書き出された索引をタップ(あるいはクリック)すれば、目的の箇所へジャンプさせることができます。
InDesign上で作成した索引(上図)は、EPUBにもきちんと反映されているのが分かります(下図)。
オブジェクトスタイルのサポート
オブジェクトスタイルへのタグやクラスの設定がサポートされました。[オブジェクトスタイルオプション]ダイアログを表示させると、新しく[タグを書き出し]という項目が追加され、タグやクラスの指定が可能になっています(下図)。
また、新しく[書き出しオプション]の項目も追加されており、これまで[オブジェクト]メニューの[オブジェクト書き出しオプション]から行っていた設定も[オブジェクトスタイルオプション]ダイアログから管理することができます。これにより、オブジェクトのEPUBへの書き出しを一元的にコントロール可能となり、EPUB書き出し後の編集も容易になります(下図)。
クラス名の改善とCSSに含める
InDesignでは、属性を適切なCSSにマップするために「オーバーライドクラス」を生成しています。これまで生成されるクラスには、あいまいな名前が付けられていましたが、InDesign CCではその用途を反映する名前が付けられるようになりました。また、クラスの名前も目的に応じて分かりやすく変更されています。
さらに、段落スタイル、文字スタイル、オブジェクトスタイルの各編集ダイアログには[CSSに含める]というチェックボックスが追加されています。[CSSに含める]をオフにすることで、特定のスタイルのみCSSに書き出さない設定にすることも可能です(下図)。
フォント埋め込みのサポート
2012年11月にEPUBCheckが変更され、iBooks Readerにおいて埋め込みフォント形式が許容可能となりました。InDesign CCでは、フォントを埋め込んだEPUBファイルを書き出し、iBooks Readerで表示させると、埋め込んだフォントで表示可能になっています(下図)。制作サイドが意図したフォントで表示させたい場合には、フォントを埋め込むとよいでしょう。ただし、フォントのライセンスには注意する必要があります。
なお、InDesign CCのEPUB書き出しに関しては、AdobeのESSENTIAL GUIDE『InDesign CCを体験しよう』でも書かせていただいておりますので、そちらも併せて参考にしてください。