InDesign CS6では、EPUBに関する機能も大きく向上しています。今回、そのいくかつをご紹介します。
floatとmargin
EPUBに書き出した際に、画像に対して回り込み(float)の指定がInDesign上で可能になっています。まず、目的の画像を選択したら[オブジェクト]メニューから[オブジェクト書き出しオプション]を選択します(下図)。

[オブジェクト書き出しオプション]ダイアログが表示されるので、[EPUBおよびHTML]タブを選択し、[レイアウトのカスタム設定]にチェックを入れたら、ポップアップメニューから任意の項目を選択します。[左にフロート]または[右にフロート]のいずれかを選択すれば、EPUBファイル上で回り込みが反映されます(下図)。

なお、フロートを設定しただけでは、テキストと画像はくっついたまま回り込みされてしまいます。そこで、[テキストの回り込み]パネルで画像に対してオフセット(margin)を設定します(下図)。

上下左右のオフセットに入力した値が、EPUBのマージンの値として使用されます。下図はEPUB内のCSSファイルのスクリーンショットです。InDesignの上下左右のオフセットが、marginプロパティの上下左右の値として使用されているのが分かります(下図)。
※単位はピクセルとして書き出されます。

ベンダープリフィックス
InDesign CS5.5から書き出したEPUBファイルでも、縦書きや圏点、縦中横といったEPUB 3.0で盛り込まれた仕様を再現することは可能でした。しかし、そのためにはEPUB書き出し後に、手動でベンダープリフィックス(接頭辞)を付ける必要がありました。
CS6では、自動的にベンダープリフィックス「-epub-」等が記述された状態でEPUBが書き出されるため、わざわざ手動で編集する必要がなくなりました(下図)。
※EPUB 3.0の仕様では、多くのプロパティ名に「-epub-」プリフィックスを付けるよう定めています。

XHTMLの分割
[EPUB書き出しオプション]ダイアログでは、これまでも任意の段落スタイルでEPUB内のXHTMLファイルを分割することが可能でしたが、CS6では指定した複数の段落スタイルごとにXHTMLファイルの分割が可能となりました。
[段落スタイル]パネル、あるいは[文字スタイル]パネルのオプションメニューから[すべての書き出しタグを編集]を選択すると、[すべての書き出しタグを編集]ダイアログが表示されます。このダイアログ上で、XHTMLを分割したい段落スタイル名の[EPUBを分割]にチェックを入れればOKです(下図)。

目次用ファイルの生成
[EPUB書き出しオプション]ダイアログで[バージョン]に[EPUB 3.0]を選択してEPUBを書き出すと、EPUB内に「toc.ncx」と「toc.xhtml」という2つの目次用のファイルが生成されます(下図)。「toc.ncx」はEPUB 2.0用、「toc.xhtml」はEPUB 3.0用の目次ファイルとなっており、EPUB 3.0に未対応のリーダーで表示させた場合でも、きちんと目次が表示されるようになっています。
なお、[EPUB書き出しオプション]ダイアログで[バージョン]に[EPUB 2.0.1]を選択してEPUBを書き出した場合は、「toc.ncx」のみしか書き出されません。

その他の機能向上
他にも、以下のような機能の向上がなされています。
- EPUBのバージョンを指定しての書き出し
- JavaScriptの読み込み
- 日本語ルビのフォント、サイズ、およびカラーをサポート
- EPUBのマージン(上、下、左、右)のサポート
- 外部のebookカバーファイルにリンクする際に、新しいXHTMLドキュメントを作成
- CS5.5のオーディオおよびビデオタグを、EPUB2からEPUB3への書き出しに変更
- 配置されたHTMLおよびAdobe Edge HTMLのアニメーションをEPUB3に書き出し可能
- 新しいEPUB3パッケージをサポート・表のセルスタイルのCSSへの変換をサポート
- InDesignのリストの記号および番号のサポート
なお、Adobeのサイト内で『InDesign CS6で行うEPUB作成』という連載記事を書かせていただきました。InDesign CS6で向上した機能だけでなく、EPUBを制作するうえでのポイントをまとめていますので、併せてご覧ください。
http://www.adobe.com/jp/joc/design/digipub/epub_cs6/epubcs6_01.html