InDesign 1.0Jのデフォルトのコンポーザは[Adobe複数行コンポーザ]でした。[環境設定]で設定された行数分、前の行までコンポーザが分析して組版をしていましたが(Study Room 1.0J No.65参照)、InDesign 2.0Jでのデフォルトコンポーザは[Adobe 日本語段落コンポーザ]に変更されました。[環境設定]での設定項目もなくなり、段落ごとの組版方式に変更されたようです。
下図は2.0Jで[Adobe 日本語単数行コンポーザ]を使用して組んだもので、[文字組み]には「約物全角」を使用しています。
これをデフォルトである[Adobe 日本語段落コンポーザ]に変更したものが下図です。
2行目の「た。」が追い込まれているのがわかります。
次にこの「た。」の後に「1.0Jの」と文字を追加すると上図のように「た。」が追い出されてしまいます。こういった現象は、特に欧文テキストの場合に顕著にみられます。
従来のアプリケーションですと、文字の追加・削除など修正があった場合、その修正した行以降の部分だけが影響を受け文字位置が変わりますが、InDesignの場合、同一段落内であれば修正した行以前の文字組みにも影響を及ぼし文字位置が変わる場合があるのです。
ユーザガイドによると[Adobe 日本語単数行コンポーザ]は従来のアプリケーションが使用していた方法で「同時に1行のテキストを構成する」そうですが、
[Adobe 日本語段落コンポーザ]は「分割点を識別して評価し、分割点に加重したペナルティを課して組版を処理します。日本語テキストの場合、ペナルティは、禁則処理と両端揃えのために挿入された実際の文字組みアキ量と、必要な文字組みの値の差から計算する」そうです。
なんかわかりにくい文章ですが、指定されている[文字組みアキ量設定]に対して、どういった文字組みが一番ペナルティが少ないかを計算して、どこで改行するのがベストなのかを判断しているようです。
その為、まだ同一行に文字が入るスペースがあったとしても、他の行の状態によっては文字が追い出されるという事もあるわけです。