InDesignではQuarkXPressのデータを開く事ができます。完全に元のデータを再現するのは難しいですが、一番問題となる文字組みについてどれぐらい再現できるかを簡単に調べてみました。
下の図のように簡単な文字組みのデータをInDesignで開いてみました。
下図がその結果です。フレームの位置や大きさ、書体や級数等はちゃんと再現されていますが、文字がフレームから少し上に飛び出しています。それではこのフレームの属性を色々と見てみましょう(ユーザガイドによるとQuarkXPressのテキストボックスはすべて、テキストフレームに変換されるそうです)。
当たり前ですが[文字揃え]は[欧文ベースライン]になっています(下図参照)。
それでは[テキストフレームオプション]の[先頭ベースライン]はどうなっているでしょうか。[オフセット]が[アセント]になっています(下図参照)。
それではこれを[仮想ボディの高さ]に変更するとどうなるでしょう。その結果が下図です。
文字がちゃんとフレーム内に収まっています。InDesign上できちんとした文字組みを行う場合には、[文字揃え]や[先頭ベースライン]の設定を変えてやる必要があるかもしれません。
又、不思議だったのは、QuarkXPressのデータを開く前のInDesignの[文字組み]の設定が、開くQuarkXPressのデータに影響を及ぼすということです。まず下図をご覧下さい。同じデータを異なる[文字組み]で開いたものです。
左が[文字組み]が[行末約物半角]になった状態で開いたもので、右が[文字組み]が[約物全角]になった状態で開いたものです。行末の句点の状態が違うのがわかります。QuarkのデータをInDesignのデータにする場合は、開く前に使用したい[文字組み]を設定しておいた方がいいようです。
といっても、完全に元の状態を再現はできませんし、場合によっては作り直した方が速い場合もありそうです。又、ページ数の多いデータを開こうとしたら30分以上時計が回りっぱなしになった事もありました(その時は強制終了しましたが……)。ページ数が少ないもので、多少の手直しを覚悟したものについてのみ変換する方がいいかもしれませんね。
(追記 2001.11.28)
Adobeサポートデータベース サポート文書番号220596にQuarkXPressドキュメントの変換に関する注意点が載っていましたので、要約してご紹介致します。
〈カスタム禁則〉
QuarkXPressのカスタム禁則は、強い禁則に置換される。
〈カラー〉
QuarkXPress4.0Jで使用されているPANTONER、Trumatch、Focoltoneは、RGBカラーとして定義される。
〈綴じ方向〉
右綴じドキュメントを変換すると、すべてのスプレッドが「スプレッド分離禁止」に変換される。
〈線種〉
QuarkXPress4.0Jで線種が「すべてドット」に設定されているオブジェクトを変換すると、線種がベタ線に変換される。
〈段落境界線〉
QuarkXPressスタイルの段落境界線のオフセット値は、パーセンテージ値ではなく、絶対値で定義されている場合にのみ維持される。
〈インライン・グラフィック〉
QuarkXPressテキストボックスでオーバーセットされているインライン・グラフィックは、変換するとテキストフレームの外側に表示されることがある。
〈縦反転されたテキスト〉
QuarkXPressテキストボックスで縦反転されたテキストは、InDesign 1.0Jでは縦反転したテキストフレームとともに表示される。
〈原点〉
QuarkXPress 3.3Jで設定されている原点は、変換されないので、異なる座標で表示される。ページ上では、正しい位置に表示されます。
〈文字ツメ、字送り、禁則エディタ〉
禁則エディタ、字送りエディタ、カーニングエディタおよび文字ツメの設定値は維持されない。
〈行頭・行末のカスタムカーニング〉
行頭または行末にカスタムカーニングが適用されている場合、行揃えの設定によってはテキストの一部がフレーム外に描画されることがある。この問題を回避するには、当該テキストを選択して、[段落]パレットで[文字組み]を[なし]にするか、もしくは[複数行コンポーザ]を選択する。
〈縦組みの文字比率〉
縦組みテキストの水平比率は垂直比率に、垂直比率は水平比率に変換される。
〈タグ〉
QuarkXPressタグはサポートしていません。