CS6で搭載されたリキッドレイアウトは、ページサイズを変更する場合や、代替レイアウトの機能を使用して異なるサイズのレイアウトを作成する場合に使用します。設定した[リキッドページルール]に基づいて、各オブジェクトの位置やサイズが変更されるため、ページサイズ変更後にオブジェクトの位置やサイズを修正する手間を大幅に省くことができます。
設定は[リキッドレイアウト]パネル、あるいは[コントロール]パネルから行いますが、ページツールを選択している時しか設定を行うことはできません。まず、[レイアウト]メニュー、あるいは[ウィンドウ]メニューの[インタラクティブ]から[リキッドレイアウト]パネルを表示させます(下図)。

では、iPad用に作成した縦置きのレイアウトから、代替レイアウトを使用して横置きのレイアウト作成するという想定で解説していきたいと思います。下図のように、代替レイアウトの機能を使用しただけでは、各オブジェクトは新しいレイアウトの真ん中に同じ大きさで配置されるだけです。

そこで、リキッドレイアウトの機能を使用して、各オブジェクトの位置やサイズが新しいレイアウトに合うよう設定したいと思います。まず、[リキッドレイアウト]パネルの[リキッドページルール]を見てみましょう。ここに何を選択したかで、代替レイアウト作成時の動作がかわってきます(下図)。なお、[リキッドページルール]はページ単位で設定できます。

[マスターによって制御]は、マスターページに適用した[リキッドページルール]に基づいて調整するオプションなので、その他の項目を見ていきましょう。まず、元となる縦置きのレイアウトは下図のようになっています。

[リキッドページルール]に[拡大・縮小]を選択したら、ページツールを選択して、表示されるハンドルをドラッグしてサイズを変更します。すると、ページサイズの変更に伴って、各オブジェクトはページの中心を基準に拡大・縮小されます(下図)。

次は[中央揃え]を選択します。ページサイズを変更すると、各オブジェクトのサイズ自体は変わらず、ページの中心に配置されます(下図)。

[オブジェクトごと]を選択します。このオプションを選択すると、オブジェクト単位でどのように調整するかを設定可能になります。ページツールで、ページ上部の画像を選択してみると、太い枠でハイライトされ、[リキッドレイアウト]パネルの[オブジェクトの制約]が設定可能になります(下図)。


例えば上図のように設定すると、画像の[上端][左端][右端]がページ枠の端に固定され、[高さ]や[幅]はページサイズに合わせて可変するようになります。また[自動フィット]がオンになっているので、ページサイズに合わせて画像自体のサイズも変更されます。なお、設定はパネル上だけでなく、マウス操作でオン/オフも可能です(下図)。


最後に[ガイドごと]を選択してみましょう。このオプションでは、リキッドガイドを基に各オブジェクトが調整されます。そのため、まずリキッドガイドを作成する必要があります。リキッドガイドの作成は、定規ガイドをリキッドガイドに変換する方法と、直接作成する方法の2つがあります。
1つ目の方法では、あらかじめ定規ガイドを作成しておきます。[リキッドページルール]に[ガイドごと]を選択して、選択ツールで選択するとアイコンが表示され、クリックすることでリキッドガイドと定規ガイドを切り替えることができます(下図)。2つ目の方法は、ページツール選択時に、定規から直接ドラッグすることでリキッドガイドを作成できます。なお、リキッドガイドは点線で表示されます。


ここでは、テキストフレームと下部の画像にかかるように、縦方向のガイドを1本作成しました(下図)。

この状態から、ページツールでドラッグすると、テキストフレームと下部の画像は、縦方向はサイズが変わらず、横方向のみサイズが変わります(下図)。また、横方向のリキッドガイドに触れている場合には、横方向のサイズが固定されます。つまり、リキッドガイドが触れているオブジェクトは、その方向のサイズが固定されるようになるわけです。ただし、縦方向と横方向の2つのリキッドガイドに触れているオブジェクトは、縦方向も横方向もサイズは固定されません。

このように[リキッドページルール]を設定すると、ページサイズが変わった際に、その設定内容に応じて各オブジェクトの位置やサイズが変更されます。「No.4 テキストフレーム設定の段組」の機能も併せて設定しておけば、代替レイアウトを実行した場合でも、オブジェクトの位置やサイズ調整をある程度は自動化して行えます。なお、ページツールでハンドルをドラッグすると、ページサイズ変更時の状態を確認できますが、マウスを離せば元の状態に戻ります。ただし、option(Windowsではalt)キーを押しながらドラッグすれば、実際のページサイズを変更することもできます。
下図は、実際に代替レイアウトを実行した直後の状態です。元々のドキュメントのデザインや、作り方にもよりますが、何も設定しないで代替レイアウトを実行した場合に比べると、後々の作業は楽になりそうです。

ちなみに、下図は代替レイアウトを実行後に、手動で調整した状態です。
