InDesign CS3での[選択範囲内へペースト]の動作が少々変わりました。InDesign CS2までは、ダイレクト選択ツールではなく、選択ツールで画像をコピーしてからでないと、Study Room 2.0J No.52のようなことは実現できませんでした。同じ画像で試してみましょう。下図は背景を透明にしたネコの画像を配置した上に「CAT」という文字を入力しています。
この「C」という文字にネコのしっぽをからめたいので、背景のネコの画像をダイレクト選択ツールでコピーした後、テキストの上に描いたバス(緑)を選択し、編集メニューから[選択範囲内へペースト]を実行します。CS2までであれば、コピー元と同じ位置にはペーストされませんでした(フレームの左上を原点として配置される)が、CS3ではダイレクト選択ツールでコピーしても望む結果(下図)が得られます。
ちなみに、CS2以前のバージョンで[選択範囲内へペースト]を実行した場合、選択ツールでコピーすることで同じ位置に画像をペーストしていたわけですが、その場合、画像は入れ子状態になっていました。ネコのグラフィックフレームの「線」に青色を指定したもので [選択範囲内へペースト]を実行したものが下図ですが、緑色のパスを広げてみると、青色のフレームが入れ子状態となり、そのフレーム内にネコの画像が配置されているのが分かります。このようにInDesignでは入れ子状のグラフィックフレームを作成することができるわけです。
なお、CS3でダイレクト選択ツールを用いて[選択範囲内へペースト]を実行した場合 には、フレームは入れ子状にはなりません(下図)。
(補足)
InDesign CS2までは、入れ子状になったフレームを選択するといった場合には、フレームのパス上をうまくクリックしなくてはならず、非常にしづらいものがありました。Study Room CS3 No.05でも紹介したように、CS3ではオブジェクトをダブルクリックすることで、選択ツールとダイレクト選択ツール切り替えが可能となりました。この機能のおかげで、複雑に入れ子状態になったオブジェクトの選択もしやすくなっています。
(追記 2008.2.27)
InDesignでは、角丸の表を作成することはできません。しかし、[選択範囲内へペースト]の機能を利用して角丸の表を作成することが可能です。手順を以下に示します。
まず、表を作成します(下図)。
上図のように、テキストフレームと実際の表のサイズが異なる場合には、フレームのサイズを表にぴったりと合うようにしておきます。[コントロール]パレットの[フレームを内容に合わせる]コマンドを実行するとよいでしょう(下図)。
※[フレームを内容に合わせる]コマンドを実行しておくと、 [選択範囲内へペースト] を実行した際に、表の位置をコントロールしやすくなります。
これにより、フレームのサイズが表と同じになります(下図)。
※ただし、線幅の分だけフレームのサイズは大きくなっています。
表と同じサイズの角丸の長方形を作成し、[編集]メニューから[選択範囲内へペースト]を実行します(下図)。
※作成する角丸長方形は、表とぴったり同じ位置、あるいは表とはまったく異なる位置(重ならない位置)に作成してください。
表が角丸の長方形のセンターに配置されます(下図)。つまり、 角丸の長方形で表がマスクされた状態になっているわけです。もちろん、文字ツールでテキストを編集することも可能ですので、表のサイズが変わらないかぎり、 このまま修正が可能です。
※テキストフレームと表が異なるサイズの状態のものをコピーして、 [選択範囲内へペースト] を実行すると 、表と角丸長方形の位置が合わないため、位置を調整する必要がでてきます。