InDesign CS2(4.0.0~4.0.3)では、段落スタイルが適用されたテキストをコピー&ペーストすると、コピー元のテキストと異なる状態でペーストされるケースがありました。
例えば、下図のように「A」という段落スタイルが適用されたテキストがあったとします。このテキストをコピーします。
次にペーストを実行すると、段落スタイルがオーバーライドされた状態(元と異なる状態)でペーストされるケースがあるのです(下図は、異なる文字組みアキ量設定が適用されてペーストされています)。
必ずしもオーバーライドされた状態でペーストされるというわけではなく、どういったケースで起こりうるのかはハッキリとしませんが、以下のような手順を実行すると再現できます。
1 ドキュメントを何も開いていない状態で新規に文字組みアキ量設定を作成します。ここでは仮に名前を「B」とします。
2 段落パレットの[基本段落]をダブルクリックし、文字組みアキ量設定を「B」に設定して保存します。
3 段落パレットの[基本段落]の選択を解除します。
4 新規ドキュメントを作成し、プレーンテキストフレームを作成してテキストを入力します。
5 テキストに対し適当な書式を設定し、段落スタイルとして登録します。仮に名前を「C」とします。テキストにもこの段落スタイル「C」を適用します。
※この時、段落スタイル「C」には[基本段落]と同じ文字組みアキ量設定「B」が適用されていますが、「一般」パネルの「スタイル設定」欄には文字組みアキ量設定は表示されていません。これは「基準:」欄が[基本段落]と同じになっているからです。
6 テキストの選択を解除後、段落パレットの[基本段落]をダブルクリックし、文字組みアキ量設定を「行末約物半角」等、他のものに変更します。
※この時、新規で作成した段落スタイル「C」の文字組みアキ量設定も自動的に「行末約物半角(変更した文字組みアキ量設定)」に変更されます。
7 先程、作成したプレーンテキストフレームを選択ツールで選択し、コピーします。
8 ペーストすると、なぜかオーバーライドされた(+のついた)状態でテキストがペーストされます。
※ペーストしたテキストには「行末約物半角」ではなく、文字組みアキ量設定「A」が適用されています。
実際には、このような手順で作業することはありませんが、動作がおかしいことは確かです。
なぜ、このような現象が起こるかですが、
InDesignには「root style」という段落スタイルが3つ(ワークスペース、ドキュメント、クリップボード)あるそうです。本来これらは初期設定の文字属性と同じはずで、異なる場合には特別処理をする必要があるのですが、ここに問題があったようです。
なお、この現象はInDesign CS2 4.0.4のアップデータで解消されたようです。
(Mac版)
http://www.adobe.com/jp/support/downloads/3422.html
(Windows版)
http://www.adobe.com/jp/support/downloads/3423.html