CC 2019では、新しく[PDFコメント]パネルが追加されました(下図)。
※[PDFコメント]パネルは、ドキュメントを何も開いていない時は表示できません。
このパネルでは、PDFに付けられた注釈を読み込むことができるため、PDFの赤字をInDesign上で確認しながら修正作業がおこなえるというものです。つまり、
InDesign CC 2019からPDF書き出し
↓
AcrobatでPDFに注釈を付ける
↓
[PDFコメント]パネルに注釈を読み込んで修正をおこなう
というワークフローが実現するわけです。
では、CC 2019から書き出したPDFに、Acrobat Pro DCで注釈を入れてみましょう(下図)。
このPDFには、以下の5つの注釈を入れました。
[カーソルの位置にテキストを挿入]「た城で」を追加
[置換テキストのノートを追加]6→六
[テキストに取り消し線を引く]「小高い」を削除
[ノート注釈を追加]「色を変える」指示
[置換テキストのノートを追加]を望む→の眺め
InDesignでドキュメントを開き、[PDFコメント]パネルの[PDFコメントを読み込み]をクリックして、目的のPDFを読み込みます。すると、PDFの注釈が読み込まれます(下図)。
まず、一番上に表示された項目(ここでは「六」)を選択すると、ドキュメントの目的の箇所がハイライトされます(下図)
[PDFコメント]パネルで[承認]ボタンをクリックします(下図)。
すると、テキストが修正されます。ここでは、数字の「6」が漢数字の「六」に置換されました(下図)。
[PDFコメント]パネルにも[承認済み]と表示されます(下図)。
テキストを追加した「た城で」や、テキストを削除した箇所も問題なく修正がなされました(下図)。
同様の手順で修正していきますが、「を望む」→「の眺め」に変更した箇所は、「の」の文字のみ文字サイズを小さくしてあったので、「眺め」という文字もそれに合わせて小さなサイズで置換されてしまいました(下図)。
また、[ノート注釈を追加]した箇所は、その場所を確認することができました(下図)。ただし、プレビューモードになっていると、[ノート注釈を追加]のアイコンは表示されないので注意してください。
このように見ていくと、素晴らしい機能のように思いますが、実際にはまだまだ問題があります。漢数字の「十二」を「12」に置換するよう注釈を入れた箇所では、異なる場所(図では読点の箇所)のテキストが修正されたりしました(下図)。
また、注釈の位置を読み取れずに、どこに修正があるかが不明なケースも(下図)。
まだまだ仕事で使うには厳しいと思いますが、完璧に動作すれば、素晴らしい機能だと思うので、今後に期待ですね。なお、現時点での問題点には、以下のようになっています。
- iOS/AndroidのAcrobat Readerで書き込んだコメントが、InDesignに読み込めない
- マスターページ部分に書き込んだコメントが、InDesignで認識できない
- コメント書き込み場所によっては、正しい位置に読み込めない
- コメント承認後、置換/挿入などがされた箇所に、制御文字が挿入される