InDesign CS5では、コンテンツインジケーターが搭載されました。これは、選択ツールでグラフィックフレーム内の画像を編集可能にするための機能です。通常、選択ツールで画像を選択すると、グラフィックフレームが選択され、移動や拡大・縮小はグラフィックフレームに対して実行されます。これに対し、グラフィックフレーム内の画像を移動したり、拡大・縮小したい場合には、ダイレクト選択ツール(またはポジションツール)を使用する必要がありました。
CS5では、選択ツールを画像の上に移動させると下図のようにドーナツ型のシェイプが画像のセンターに表示されます。
※ドーナツの外輪は白い透明、内輪は黒い透明で表示されます。
ドーナツ型のシェイプが表示されたら、マウスをその上に移動します。すると、マウスポインタはハンドツールのアイコンに変化します。これをコンテンツグラバーハンドと呼びます(下図)。
このままドラッグすれば、中の画像を移動できます(下図)。移動後にマウスを離しても選択ツールのままです。
あるいは、ドーナツ型のシェイプをクリックすれば、中の画像が選択された状態(下図)になるので、[コントロール]パネルや[変形]パネルを使用して、移動や拡大・縮小を行うこともできます。もちろん、選択を解除すれば選択ツールのままです。なお、この機能は、ポジションツールの機能を置き換えるものとなるため、CS5からポジションツールはなくなりました。
これまでのように、グラフィックフレームをトリプルクリックして中の画像を選択したり、ダイレクト選択ツールに持ち替えたりといった作業は必要なくなります。なお、コンテンツインジケーターの機能が搭載されたことにより、グラフィックフレームを選択ツールでダブルクリックしてもダイレクト選択ツールに切り替わることはなくなりました(選択ツールのまま、中の画像が選択されます)。
ちなみに、選択ツールでコーナーハンドルをドラッグしてサイズ変更をする際には、トリミングされて非表示になっている部分が半透明で表示されるよう、仕様が変更されています(下図)。これをライブスクリーン表示と呼びます。