InDesignの先頭文字スタイルは、段落スタイル内に複数の文字スタイルを入れ子として持たせることができる機能です(詳細はStudy Room CS No.30参照)。
先頭文字スタイルには複数の文字スタイルを登録できます。概念は上図のような感じになります。例えば、3つの文字スタイルを先頭文字スタイルとして登録した場合、上位に指定した文字スタイルから優先的に適用されていきます。しかし、先頭文字スタイルとして登録した文字スタイルは、すべて段落の先頭から適用されるため、段落中の任意のテキストに対して先頭文字スタイルを適用することはできません。
しかし、先の図の「文字スタイルA」を実際には文字スタイル[なし]の先頭文字スタイルとして登録しておくことで、任意の場所から「文字スタイルB」を適用するといった使い方ができます[ここで紹介する方法は「+DESIGNING the InDesign(毎日コミュニケーションズ)」で大橋幸二さん(DTPの壺)が書かれている内容を基に記述させていただいております]。
まず、上図のような先頭文字スタイルを登録しました。これは最初の「先頭文字スタイルの終了文字」のところまでは文字スタイルは[なし]で、次の「先頭文字スタイルの終了文字」のところまでは文字スタイル「太字_マゼンタ」を適用するという設定です。この設定を下図のようなテキストに対して適用してみたいと思います。
まずは「先頭文字スタイルの終了文字」を1箇所に挿入してみます。
すると、「先頭文字スタイルの終了文字」以降のテキストに「太字_マゼンタ」という文字スタイルが適用されました(上図)。
さらにもう1箇所に「先頭文字スタイルの終了文字」を挿入してみます。
1箇所めと2箇所めの「先頭文字スタイルの終了文字」の間のみに対して「太字_マゼンタ」という文字スタイルが適用された形になりました。つまり、1つめの「先頭文字スタイルの終了文字」までは[なし]という文字スタイルが、2つめの「先頭文字スタイルの終了文字」までは太字_マゼンタ」という文字スタイルが適用されたわけです。
このように最上位の先頭文字スタイルを[なし]の設定にすることで、任意の場所のテキストに対して先頭文字スタイルを適用することも可能です。実際には、ここで紹介したようなケースでは、通常の文字スタイルを使用した方が良いかもしれませんが、最上位の先頭文字スタイルを[なし]にすることで、さまざまな応用ができるのではないかと思います。色々と使用法を考えてみるのも良いでしょう。