InDesignには、フレームグリッドを[仮想ボディ]以外にも、[平均字面]で表示させるモードもあります。
デフォルトの場合、文字枠は上図のように[仮想ボディ]で表示されますが、[環境設定]→[文字枠グリッド]の[文字枠]を「平均字面」に変更することで表示モードを変更できます(下図)。
この機能はもともとレイアウト用紙でのレイアウト制作をベースに考えられたもので、この機能を使用することで、次のような利点があります。
1 従来使用されてきたレイアウト用紙の升目のサイズは、仮想ボディよりも小さく作られています。この考えをInDesignにも取り入れたことで、実際の文字の様子(大きさ)が把握しやすくなります。
2 レイアウト用紙に写真等のアタリを描く場合、この升目にあわせて描いてました。InDesignのレイアウトグリッドを「平均字面モード」にすることで、オブジェクトは「平均字面」の升目に吸着されるようになります。つまり、下図のように文字の青い部分(平均字面)にオブジェクト(ピンクの長方形)の端をぴったり合わせて配置できるようになり、より文字の大きさ(平均字面)に近い大きさでオブジェクトが作成しやすくなるわけです。
また、この平均字面の文字枠は、フォントにより大きさが変わります。下図の上がOpenTypeフォントの「リュウミンL-KL」、下が「新ゴU」です。平均字面の文字枠の大きさが違うのがわかります。
※ただ単にフォントを変更しただけでは、この文字枠の大きさは変わりません。[フレームグリッド設定]でフォントを変更することで、文字枠の大きさが変わります。
なお、下図のようにフレーム枠を非表示にすると、よりわかりやすいかもしれません。
OpenTypeフォントの場合、「平均字面」の情報をフォントに持たせることができます(現在発売されている全てのOpenTypeフォントが「平均字面」の情報を持っているわけではありません)。特に仮名フォントの場合は漢字がないため、フォントデザイナーがどの「漢字字面」を予想してデザインしたのかは「平均字面」情報がない限りわかりませんでした。OpenTypeフォントには、その情報を持たせることができるため、漢字フォントとの文字の合わせは「平均字面」で合わせることができるようになりました。
※「平均字面」の情報がないフォントの場合、InDesignが独自に計算して文字枠を生成します。
※検証にあたり、DTP Plusのカタコリさんに色々とお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。