オーバープリントを適用する場合には、いくつか注意すべき点があります。まず、下図のようなオブジェクトを作成しました。
背面には「M50/Y50」のオブジェクト、前面には「C50」のオブジェクトを作成し、前面オブジェクトの塗りにオーバープリントを適用しました。これに対し、[オーバープリントプレビュー]を実行します(下図)。
すると、オブジェクトが重なった部分の表示が変わります。念のため、[分版]パレットで重なった部分の各版の濃度を確認します(下図)。
ちゃんと「C50/M50/Y50」になっているのがわかります。
では、前面のオブジェクトのカラーを「C50」から「C50/M10」に変更するとどうなるでしょうか。M版のみを考えた場合、重なった部分は背面のオブジェクトが50%、前面が10%なので、計60%になるような気がしますが実際はそうではありません。実際には、M版は10%となります(下図参照)。
InDeisgnやIllustratorといったアプリーケーションでは、重なる部分に同じ版の色成分がある場合、前面オブジェクトの濃度のみが適用されます。例えば今回のケースでは、重なった部分のM版は前面オブジェクトの「M10」で出力されるわけです。出力ミスをさけるためにも、必ず[オーバープリントプレビュー]や[分版]パレットで確認すると良いでしょう。
また、Illustratorでは「白」に対してオーバープリントが適用できてしまうので注意が必要です(InDesignでは「紙色」や「白」に対して、オーバープリントを実行することはできません)。下図は、Illustrator CS2のスクリーンショットですが、白いテキストに対してオーバープリントが適用できるのがわかります。
通常は下図のようなアラートが出るので誤って設定することは少ないと思いますが、オーバープリントを設定した墨文字等をコピーし、カラーを白に変更するようなケースではアラートが出ませんので注意して下さい。
[オーバープリントプレビュー]を実行すると、下図のように表示され、出力の際には文字は抜け落ちますので注意しましょう。