InDesignの[禁則調整方式]には、[追い込み優先]と[追い出し優先][追い出しのみ][調整量を優先]の4つが用意されています(下図)。この中で[追い出し優先]と[追い出しのみ]はどちらも禁則文字を追い出す設定ですが、どのように違うかを解説していきます。
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ここでは、[追い出しのみ]と[追い出し優先]を適用した下図のようなテキストを用意しました。分かりやすいように、段落揃えは[行頭揃え]、文字組みアキ量は[行末受け約物全角/半角]にしています。1行目には1.5文字分のアキができているのが確認できます(下図)。
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では、文字組みアキ量を[行末受け約物全角/半角]から[行末約物半角]にしてみましょう。すると、[追い出しのみ]も[追い出し優先]も「あ、」の2文字が1行目に追い込まれます(下図)。
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では、[追い出しのみ]の受けの丸括弧にトラッキングを「100」適用してみましょう。すると、「あ、」の2文字が追い出されます(下図)。
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今度は、[追い出し優先]の受けの丸括弧にトラッキングを「400」適用してみましょう。しかし、[追い出しのみ]の時のように「あ、」の2文字が追い出されることはありません(下図)。
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さらに、受けの丸括弧にトラッキングを「401」に設定してみます。すると、今度は「あ、」の2文字が追い出されます(下図)。
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つまり、「400」をさかいに2文字追い出されるわけです。2文字分は2000emですので、400/2000emは20%分となります。じつは、[追い出し優先]は追い出された部分の20%までなら追い込むことができる設定になるそうです。
※この話は『なんでやねんDTP』の大石さんが、元InDesignのエンジニアであるNat McCullyさんから直接聞いたとのことです。
逆を言えば、20%以上詰めることができれば、追い出さずにすむわけです。そこで今度は、[追い出し優先]の文字組みアキ量を[行末受け約物全角/半角]に変更し、さらに、受けの丸括弧のトラッキングを「0」に戻し、1行目の読点を選択します(下図)
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この読点のトラッキングを「−100」に設定します。すると、「あ、」が1行目に追い込まれます(下図)。元々、1.5文字分(1500em)空いていたので、「あ、」を1行目に追い込むためには、あと0.5文字分(500em)アキを詰められれば良いので、500em×20%で、トラッキングを「−100」に設定すればよいということになります。
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このように、[追い出しのみ]を使用した場合には、基本的に禁則文字を追い出すよう動作しますが、[追い出し優先]を使用した場合には、20%分の許容値が設けられているということになります。