2020年3月のInDesign 15.0.2のアップデートにより、[スクリプト]パネルに新しく「コミュニティ」フォルダが追加されました(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/94cbc0c5e8e9c4b90184f5b657da0f5a.png)
このスクリプトは、InDesignコミュニティによって作成されたスクリプトだそうで、それぞれ以下のような動作をします。
BreakTextThread.jsx
テキストフレームの連結を解除するスクリプトです。ここでは、3つの連結されたテキストフレームの真ん中のテキストフレームのみを選択ツールで選択して、このスクリプトを実行してみます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/d4f1dc558119fc09fd6678b7324c0b3c.png)
[Break Text Thread]ダイアログが表示されるので、ここではデフォルトで選択されている「After the Selected Frame」を選択したまま[OK]ボタンをクリックします(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/aa5f4336f5597588c737745cf4f945f7.png)
すると、連結がいくつ解除されたかをあらわすメッセージが表示されるので[OK]ボタンをクリックすします(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/0a1f6169544338ca17f48606126c3071.png)
選択していたテキストフレームと、その次のテキストフレームとの連結が解除されます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/fef074648a476bfb7b5711c402931c91.png)
なお、「Before the Selected Frame」を実行すると、選択していたテキストフレームと、その前のテキストフレームとの連結が解除され、「All Frames in the Selected Story」を実行すると、連結されたテキストフレームすべての連結が解除されます。
また、文字ツールでテキストを選択している場合には、「Before Frames with Paragraph Style」が選択された状態でダイアログが表示され、[段落スタイル]を指定できます。ここでは、[段落スタイル]に「見出し」を選択し、実行しました(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/0e5a6a543227d1c6dbd34f3210c6c92f.png)
すると、連結が2箇所解除されたことをあらわすメッセージが表示され、結果は下図のようになりました。つまり、指定した段落スタイルを含むテキストフレームに対して、その前のテキストフレームとの連結が解除されるわけです。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/0723e093ac55abc58f7154d361d997b5.png)
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/04/133217
ClearStyleOverrides.jsx
段落スタイル、文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイルのオーバーライドを消去してくれるスクリプトです。では、下図のようなドキュメントで試してみましょう。このドキュメントには、段落スタイル、文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイルを適用してありますが、それぞれ部分的にオーバーライドしてあります。なお、何も選択していなくてかまいません。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/ccf421aee998c8d71ba4f1cabcffb0ba.png)
「ClearStyleOverrides.jsx」を実行すると、下図のようなダイアログが表示されます。オーバーライドを消去したいスタイル(段落スタイルと文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイル)にチェックを入れますが、すべてのスタイルのオーバーライドを消去したい場合には、それぞれ[All]を選択し、任意のスタイルのみのオーバーライドを消去したい場合には、それぞれのプルダウンメニューから目的のスタイルを選択します。ここでは、すべてのスタイルのオーバーライドを消去してみましょう。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/d6a03658c2ac9d83afd2fe5d32482101.png)
[Clear overrrides]をクリックすると、指定したスタイルのオーバーライドが消去されます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/c6131c27dbd7a8f1ba3d67cb652320fc.png)
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/05/104457
InsertTypograherQuote
選択したテキストを引用符で囲んでくれるスクリプトです。フランス語(FR)、ドイツ語(DE)、スイス(CH)、英語(EN)に対して、それぞれシングルコーテーションマークとダブルコーテーションマークがあり、計8個のスクリプトがフォルダ内に用意されています(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/8e20b1777dd6f681cd2644292cd98e77.png)
文字ツールで目的のテキストを選択したら、スクリプトを実行します(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/a8aac1d123d894d8c6040cc5442ece50.png)
ここでは「InsertTypographerQuote_Double_EN.jsx」を実行しました。すると、下図のような結果となります。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/3ffb1f3cf9328ae394bb8f178cf1ad72.png)
SnapMarginsToTextFrames.jsx
選択しているテキストフレームの位置やサイズに一致するよう、マージンガイドを変更するスクリプトです。任意のテキストフレームを選択します(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/92458579a2fe7cf40743859cfc840f67.png)
「SnapMarginsToTextFrames.jsx」を実行すると、下図のようなメッセージが表示されます。メッセージは「マージンは、マスターページを含むドキュメント全体で選択したテキストフレームに一致するように調整されます。 続けますか?」という意味です。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/3738cf498b50de12439e3d51612e95a5.png)
[OK]ボタンをクリックすると、すべてのマージンが正常に変更されたことをあらわすメッセージが表示されます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/a23c3b6531525a83a6fbc58a2a04a6d5.png)
[OK]ボタンをクリックするとマージンガイドが選択していたテキストフレームに一致するよう変更されます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/9ce9d02450168a94ac462b4c9acd368c.png)
このスクリプトは、テキストフレーム自体を基準とするため、テキストがあふれていたり、フレーム内にスペースがあっても関係ありません。また、テキストフレームが回転していると実行できません。さらに、2つ以上のテキストフレームを選択している場合は、最初に作成したテキストフレームを基準にマージンが変更されます。
注意したいのは見開きの左ページにあるテキストフレームを選択している場合です。スクリプトを実行しても、下図のようなメッセージが出て、スクリプトが実行できません、必ず、右ページのテキストフレームを選択してスクリプトを実行する必要があります。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/48db80e378e48f11b6181850c649e188.png)
さらに、[定規の単位]の[開始位置]には[スプレッド]を選択しておく必要があります(下図)。[ページ]や[ノド元]が選択されていると、おかしな結果になってしまうので注意が必要です。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/b1bb91c927a3f39686c50e690200f009.png)
UnicodeInjector.jsx
カーソルのある位置に特定の字形を挿入するスクリプトです。ただし、デフォルトのままでは使用することができず、スクリプト名を変更することで字形を挿入できます。
例えば、「✿」という字形を挿入したいと思います。Unicode番号は0x273Fです(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/d6e95afdb88d6c65c2b61296f9317e64.png)
まず、[スクリプト]パネルで「UnicodeInjector.jsx」を右クリックして[Finderで表示]を実行します(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/267e733f3a4423af7a4c94535fe51d0d.png)
Finderで「UnicodeInjector.jsx」が表示されます(下図)。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/92baf31d044a9289cdb11001c94c760f.png)
このスクリプトをどこかにコピーして、ファイル名を入力したい字形のUnicode番号に変更します(Unicode番号だけだと、どんな字形が入力されるのかが分かりづらいので、末尾にその字形も入力しておくと良いかもしれません)。ファイル名を変更したスクリプトは、[スクリプト]パネルの[ユーザー]フォルダ等に置いておきましょう(下図)。なお、[ユーザー]フォルダは、[スクリプト]パネル上で右クリックして[Finderで表示]を実行すれば表示できます。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/fba6ba9af1f3c7ac7b179c15b4e1ba34.png)
目的の場所にカーソルを置き、このスクリプトを実行すると「✿」の文字が入力されます。
![](https://study-room.info/archives/004/202003/18b32689a42a3cb20cf07617001d7a12.png)
![](https://study-room.info/archives/004/202003/b61a0705140edc67427d4983b5e8ec20.gif)
![](https://study-room.info/archives/004/202003/dddcb816e0d882a3c0b0a3dfd18b5f00.png)
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/06/000500