2020年3月のInDesign 15.0.2のアップデートにより、[スクリプト]パネルに新しく「コミュニティ」フォルダが追加されました(下図)。
このスクリプトは、InDesignコミュニティによって作成されたスクリプトだそうで、それぞれ以下のような動作をします。
BreakTextThread.jsx
テキストフレームの連結を解除するスクリプトです。ここでは、3つの連結されたテキストフレームの真ん中のテキストフレームのみを選択ツールで選択して、このスクリプトを実行してみます(下図)。
[Break Text Thread]ダイアログが表示されるので、ここではデフォルトで選択されている「After the Selected Frame」を選択したまま[OK]ボタンをクリックします(下図)。
すると、連結がいくつ解除されたかをあらわすメッセージが表示されるので[OK]ボタンをクリックすします(下図)。
選択していたテキストフレームと、その次のテキストフレームとの連結が解除されます(下図)。
なお、「Before the Selected Frame」を実行すると、選択していたテキストフレームと、その前のテキストフレームとの連結が解除され、「All Frames in the Selected Story」を実行すると、連結されたテキストフレームすべての連結が解除されます。
また、文字ツールでテキストを選択している場合には、「Before Frames with Paragraph Style」が選択された状態でダイアログが表示され、[段落スタイル]を指定できます。ここでは、[段落スタイル]に「見出し」を選択し、実行しました(下図)。
すると、連結が2箇所解除されたことをあらわすメッセージが表示され、結果は下図のようになりました。つまり、指定した段落スタイルを含むテキストフレームに対して、その前のテキストフレームとの連結が解除されるわけです。
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/04/133217
ClearStyleOverrides.jsx
段落スタイル、文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイルのオーバーライドを消去してくれるスクリプトです。では、下図のようなドキュメントで試してみましょう。このドキュメントには、段落スタイル、文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイルを適用してありますが、それぞれ部分的にオーバーライドしてあります。なお、何も選択していなくてかまいません。
「ClearStyleOverrides.jsx」を実行すると、下図のようなダイアログが表示されます。オーバーライドを消去したいスタイル(段落スタイルと文字スタイル、表スタイル、オブジェクトスタイル)にチェックを入れますが、すべてのスタイルのオーバーライドを消去したい場合には、それぞれ[All]を選択し、任意のスタイルのみのオーバーライドを消去したい場合には、それぞれのプルダウンメニューから目的のスタイルを選択します。ここでは、すべてのスタイルのオーバーライドを消去してみましょう。
[Clear overrrides]をクリックすると、指定したスタイルのオーバーライドが消去されます(下図)。
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/05/104457
InsertTypograherQuote
選択したテキストを引用符で囲んでくれるスクリプトです。フランス語(FR)、ドイツ語(DE)、スイス(CH)、英語(EN)に対して、それぞれシングルコーテーションマークとダブルコーテーションマークがあり、計8個のスクリプトがフォルダ内に用意されています(下図)。
文字ツールで目的のテキストを選択したら、スクリプトを実行します(下図)。
ここでは「InsertTypographerQuote_Double_EN.jsx」を実行しました。すると、下図のような結果となります。
SnapMarginsToTextFrames.jsx
選択しているテキストフレームの位置やサイズに一致するよう、マージンガイドを変更するスクリプトです。任意のテキストフレームを選択します(下図)。
「SnapMarginsToTextFrames.jsx」を実行すると、下図のようなメッセージが表示されます。メッセージは「マージンは、マスターページを含むドキュメント全体で選択したテキストフレームに一致するように調整されます。 続けますか?」という意味です。
[OK]ボタンをクリックすると、すべてのマージンが正常に変更されたことをあらわすメッセージが表示されます(下図)。
[OK]ボタンをクリックするとマージンガイドが選択していたテキストフレームに一致するよう変更されます(下図)。
このスクリプトは、テキストフレーム自体を基準とするため、テキストがあふれていたり、フレーム内にスペースがあっても関係ありません。また、テキストフレームが回転していると実行できません。さらに、2つ以上のテキストフレームを選択している場合は、最初に作成したテキストフレームを基準にマージンが変更されます。
注意したいのは見開きの左ページにあるテキストフレームを選択している場合です。スクリプトを実行しても、下図のようなメッセージが出て、スクリプトが実行できません、必ず、右ページのテキストフレームを選択してスクリプトを実行する必要があります。
さらに、[定規の単位]の[開始位置]には[スプレッド]を選択しておく必要があります(下図)。[ページ]や[ノド元]が選択されていると、おかしな結果になってしまうので注意が必要です。
UnicodeInjector.jsx
カーソルのある位置に特定の字形を挿入するスクリプトです。ただし、デフォルトのままでは使用することができず、スクリプト名を変更することで字形を挿入できます。
例えば、「✿」という字形を挿入したいと思います。Unicode番号は0x273Fです(下図)。
まず、[スクリプト]パネルで「UnicodeInjector.jsx」を右クリックして[Finderで表示]を実行します(下図)。
Finderで「UnicodeInjector.jsx」が表示されます(下図)。
このスクリプトをどこかにコピーして、ファイル名を入力したい字形のUnicode番号に変更します(Unicode番号だけだと、どんな字形が入力されるのかが分かりづらいので、末尾にその字形も入力しておくと良いかもしれません)。ファイル名を変更したスクリプトは、[スクリプト]パネルの[ユーザー]フォルダ等に置いておきましょう(下図)。なお、[ユーザー]フォルダは、[スクリプト]パネル上で右クリックして[Finderで表示]を実行すれば表示できます。
目的の場所にカーソルを置き、このスクリプトを実行すると「✿」の文字が入力されます。
なお、このスクリプトに関する詳細をUske_Sさんが検証されていますので、ぜひご覧下さい。
https://uske-s.hatenablog.com/entry/2020/03/06/000500