今回のDTPの勉強部屋は、Session 1では東京で「DTPの勉強会」を主宰されるあかつき(尾花暁)さんからAdobe Bridgeの活用方法、プチセッションを挟み、Session 2では『InDesignで作る電子書籍』の樋口泰行さんからInDesignを使った電子出版ソリューションについてお話しいただきました。

Session 1:Adobe Bridgeの使い方と日々の作業を効率化する方法とちょっとしたTips
スピーカー:あかつき(尾花暁)氏(東京DTPの勉強会


Session 1では東京で「DTPの勉強会」を主宰されるあかつきさんが、Adobe Bridgeを利用した作業性の向上のお話しをされました。

始めに入稿形態として頻度が高いExcelでの、テキストの成型、オートフィルでの合成、行と列の入れ替えといった、基本的な操作方法を紹介されました。続いて、本題のBridgeの活用方法では、基本設定、画像の管理、ページ組みでの使用、マルチディスプレイのすすめ、ミニブリッジや他のソフトとの比較等の解説をされました。

基本設定として、Bridgeはできるだけ画面を広く使って運用したいとし、不要なパネルをできるだけ閉じ、カラム数を減らして運用する方法を披露されました。
Bridgeの利点としてよく知られるAdobeアプリケーション間でのカラーモードの統一に軽く触れた後、InDesignファイルのフォントファミリーやリンク画像の確認、画像のフルスクリーン・拡大・回転表示といったファイルブラウザとしての便利な機能を中心に紹介され、Creative Suiteに付属しているBridgeの有用性を述べられました。

プチセッション:

今回も4名の方からご発表をいただきました。

スピーカー:西尾昌也氏松籟社
「ひとり出版社のすすめ」として、「ひとり出版社で起業してみませんか?」と呼びかけられました。電子書籍により出版のハードルが下がり、販売環境も利用しやすいものが出始めており、過去のしがらみに縛られることのない出版形態が可能となりつつあるということを紹介されました。

スピーカー:神澤有希恵氏(画家・Webデザイナー)
「SNSのすすめ」とし、同業の繋がりを広げるためのSNSの積極活用を提案されました。
情報不足のままフリーランスになってしまったが「SNSにより交流の幅を広げることが出来た」というご自身の経験を紹介されました。

スピーカー:吉岡典彦氏笹徳印刷
「CS5.5サブスクリプションのすすめ」とし、Adobe Creative Suiteの使用権を期限付きで購入する「サブスクリプション」の活用方法を紹介されました。ご自身の個人使用を例に、利用期間の算定基準、使用権のオン・オフ等、短期間利用する上での経済性について解説されました。

スピーカー:宮地知氏WORK STATIONえむ大阪DTPの勉強部屋
「私がアナログからデジタルに引き継いだモノ」として、アナログ時代における角丸長方形の書き方を動画で紹介し、近年ではパソコンが肩代わりしてくれるデザイン作業の原点を知ることを勧められました。関連して、「大阪DTPの勉強部屋」において「写植の時代」と題する、写植機の実機に触れることができる展示会の予告をされました。

Session 2:『できそう!Adobe Digital Publishing Suite(ADPS)』
〜シングルエディションで裾野が広がるInDesignと電子出版〜

スピーカー:樋口泰行氏InDesignで作る電子書籍


Session 2では、「ADPS & EPUBがやってくるInDesignで作る電子書籍」の著者であり、デジタルハリウッド本校で「電子書籍・エディトリアルトレーニング」クラスを担当される樋口泰行さんがFolio Producerを使ったInDesignの新しいワークフローについて解説されました。

先ず仕様変更のポイントを紹介されました。従来は無償のAdobe IDでは1つまでであったFolioの作成が無制限になったこと、Adobe IDを使ってサーバーへのアップロードをすることなくローカルのPC上でFolioを作成できるようになったこと、記事順の変更が可能になったこと、右開きが可能になったこと、HTMLを貼ることでインタラクティブなコンテンツを作ることができること等を解説されました。

続いて、ADPSでの作業の方法を順を追って紹介されました。360°パノラマコンテンツから始まり、コンテンツのスライド、HTMLコンテンツの使用、ボタンによる画像切り替え、Folioの生成と確認、Online Collaborationを使ったFolioの共有方法、Folioファイルの構成までデモを交えて詳細に解説されました。プログラムの知識がなくてもInDesignのオペレーションでiPadアプリが作成できる新しいソリューションである、Adobe Digital
Publishing Suiteのワークフローが披露されました。

レポート:壱岐孝平的場仁利