第21回勉強会終了報告

今回のDTPの勉強部屋は、『InDesignの勉強部屋』10周年を記念して、「InDesign特集」で開催しました。Session 1では森裕司氏(InDesignの勉強部屋)によるInDesignの操作性を高める講座、Session 2では紺野慎一氏(凸版印刷株式会社)によるInDesignの「レイアウト調整」の紹介、Session 3では岩本崇氏(アドビシステムズ株式会社)からInDesignを中心とした電子出版についてお話しいただきました。加えて、初の試みとして、InDesignについて語るパネルディスカッションを行いました。また、エンジニアのNat McCully氏(Adobe Systems Inc.)からいただいたビデオレターも上映いたしました。

Session 1:覚えておこう! InDesign使いこなし術
スピーカー:森裕司氏(InDesignの勉強部屋


最初に、InDesignが備える4種類のフレームについて触れられました。特に、プレーンテキストフレームとフレームグリッドの違い及び注意点について、丁寧に解説されました。
次に、スタイル機能について触れられ、親子関係を持つスタイルにおける注意点の説明の他、オブジェクトスタイルのオプションを設定することによる効率的な活用法の実演等をされ、会場からは感心の声が多数聞かれました。デモを基調に、淀みのない、非常にスマートなセッションにまとめられました。

Session 2:脱・食わず嫌い! 今こそ使い倒そう「レイアウト調整」機能
スピーカー:紺野慎一氏(凸版印刷株式会社


Session 2では、凸版印刷で書籍の組版に携わっておられる紺野慎一さんがInDesignの「レイアウト調整」機能を紹介されました。InDesignの先駆けとなったPageMakerの時代から既に搭載されていた機能でありながらも、実際あまり使われていないというInDesignの「レイアウト調整」機能を深く掘り下げられました。

「レイアウト調整」は、一般にInDesignには不得意であると言われる、組版設計の変更やデザインでの試行錯誤を、直感的でスマートなものにする便利な機能であると紹介されました。また、「食わず嫌い」になる原因としては、パネルの設定が分かりにくいところにあると述べられました。

デモでは、パネルの設定やテキストボックスに効果が適用される仕組み等を分析され、行間、版面、配置写真の比率までを自在にコントロールする方法を披露されました。実際に出版された書籍の事例も取り上げ、デモデータだけでなく血の通ったデータでも使えることを明らかにされました。

「レイアウト調整」機能の活用法として、背幅の変更がありうる書籍の表紙制作の方法を提案され、電子書籍で見られる、横用、縦用、別の媒体用など、複数の判型への対応が必要な場合にも便利ではないかというお話しもありました。

大のドラゴンズファンであることでも有名な紺野さんは、ドラゴンズのホームグラウンド名古屋ということで、ユニフォーム姿で登壇されました。このようなパフォーマンスも交え、「レイアウト調整」の有用性を、深く、余すところなくご紹介されました。

Session 3:InDesign CS5.5の魅力!
スピーカー:岩本崇氏(アドビシステムズ株式会社


「DTPユーザーも紙だけでなく電子への取り組みもやっていかなければならい」とし、InDesign CS 5や5.5から強化されている電子出版への対応について紹介されました。

電子出版における有力なファイル形式を解説し、InDesignにおける電子出版への対応について、従来のPDF、FLASHから新たにePub やFolioに対応し、さらに機能を強化させつつあることを述べられました。
「目の肥えたユーザーには静的な画面では電子書籍として認められない風潮がある」というトレンドを紹介され、雑誌向けのフォーマットとしてのFolio、書籍向けのフォーマットとしてのePubのうち、Folioを中心に進められました。

iPad等のスレートデバイスにおいて、紙と同じような画面、動画、インタラクティブな機能やインターネットとの連携といった三つのフォーマットを自在に操ることができるFolioの機能を、GOLF TODAY(三栄書房)、Hutte(山と渓谷社)、FraU(講談社)等での実際の導入事例をあげて解説されました。
FolioとAdobe Digital Publishing Suiteの導入方法、制作方法のデモ、Adobeのデザインマガジンやデジパブマガジンといった情報サイトの紹介もされ、InDesignから広がる動的でインタラクティブな電子出版の世界を紹介されました。

パネルディスカッション
パネラー:紺野慎一氏(凸版印刷株式会社)、中村美香氏(Adobe Systems Incorporated)、岩本崇氏(アドビ システムズ株式会社)、姫井晃氏(株式会社モリサワ)、森裕司氏(InDesignの勉強部屋


InDesignをテーマに、当勉強会では初めてのパネルディスカッションを行いました。様々な立場でInDesignに深く関わってこられた方々を国内外からお迎えし、お話しをいただきました。

主に中村氏から日本語へのこだわりや印刷を重視しつつ新しい分野へ対応するという基本姿勢について、姫井氏からInDesignが登場した当時の市場背景、紺野氏・岩本氏から黎明期のテストや出力への対応といったお話しをいただきました。また、オペレーション時のクラッシュレポートはAdobeに確実に届く仕組みになっているため、是非「いいえ」を押さずに、レポートをあげてほしいという提案もありました。

開発、マーケティング、出力ユーザー、制作ユーザー、大規模ユーザーといった様々な視点から、InDesignが登場した背景から現在、そして未来について語られました。

レポート:壱岐孝平的場仁利


懇親会会場

第21回勉強会後の懇親会会場が決定しましたのでお知らせいたします。

場所:つくね屋本舗 名駅店
   名古屋市中村区名駅4-4-38 B1F(ウインクあいち 地下1階)
   名古屋駅徒歩5分
   TEL 052-551-0390
時間:午後7時40分~
料金:4,000円

よろしくお願い致します。


プレゼント

第21回勉強会のプレゼント賞品として、アドビ システムズ様より、Adobe Creative Suite 5.5 Design Standard(Mac版またはWIndows版のいずれか1本)をご提供していただきました。参加された方の中から抽選で1名の方に当たりますのでお楽しみに。

また、参加者全員にAdobe Creative Suite 5.5 Design Premiumの体験版(Mac版またはWIndows版のいずれか1本)をプレゼントさせていただきます。その他、書籍等のプレゼントも予定しておりますので、ぜひご参加ください。


第21回勉強会のお知らせ

第21回勉強会の開催が決定しましたのでお知らせいたします。『InDesignの勉強部屋』が10周年ということもあり、今回は内容を「InDesign特集」として開催したいと思います。いつもと若干構成を変更し、メインセッション3つとInDesignについて語るパネルディスカッションを予定しております(今回、プチセッションはありません)。セミナー(および懇親会)参加希望者の方は、「勉強会お申し込み」ボタンからお申し込みください。

なお、セミナー終了後にその場で交流会を開催させていただきます。日頃、同業他社の方と話をする機会が少ない方も、ぜひ交流を図って情報交換等をしていただければと思います。交流会ではソフトドリンクをご用意する予定です。

■勉強会
日 時:2011年8月6日(土)14時00分〜19時30分
    【セミナーは14時〜18時、交流会は18時〜19時30分を予定しています】
    (13時30分より受付開始)
会 場:ウインクあいち 小ホール
    〒450-0002 名古屋市中村区名駅4丁目4-38
    JR名古屋駅桜通口からミッドランドスクエア方面 徒歩5分
    ユニモール地下街 5番出口 徒歩2分
定 員:150名
受講料:2,000円(希望者には領収書を発行できます)

■内容(予定)
Session 1:覚えておこう! InDesign使いこなし術
スタイル機能を始めとする、作業効率のアップにつかながる機能をご紹介する予定です。InDesignを使用する上でぜひ覚えておいてほしい機能をご紹介しますが、1時間という短い時間では多くを伝えることはできません。そこで、勉強会申込時に、InDesignで「聞いてみたい内容」を記入してください。できるだけ、参加者の要望に沿った内容で構成したいと思います。


スピーカー:YUJI(InDesignの勉強部屋
有限会社ザッツ代表取締役。名古屋で活動するフリーランスのデザイナー。Webサイト「InDesignの勉強部屋」や、名古屋で活動するDTP関連の方を対象にスキルアップや交流を目的とした勉強会・懇親会を行う「DTPの勉強部屋」を主催。




Session 2:脱・食わず嫌い! 今こそ使い倒そう『レイアウト調整』機能
バージョン1.0から実装されている機能にも関わらず(多くの場合)その存在すら知られていない『レイアウト調整』機能。今こそ『レイアウト調整』機能の真価を知ってバリバリ使い倒す時です。『レイアウト調整』機能を使うことのメリットはもちろん、巧く使いこなすための「ルール」や「設定方法」を解説します。『レイアウト調整』機能と一緒に使うことでより効果を高める〝おいしい〟合わせ技の実例も、応用編として紹介します。


スピーカー:紺野 慎一 氏(凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 デジタルコンテンツソリューションセンター 技術部)
1970年東京都生まれ。都立工芸高等学校デザイン科を卒業後、デザイン事務所、編集プロダクションなどを経て、1993年に凸版印刷株式会社入社、現在に至る。ディレクターとして数多くの書籍、雑誌の組版設計に携わり、特に書体における膨大な知識に基づく的確なフォントディレクションに注目が集まる。著書に『組む。InDesignでつくる、美しい文字組版』(ビー・エヌ・エヌ新社)※ミルキィ・イソベ氏と共著



Session 3:InDesign CS5.5の魅力!
InDesign CS5.5にバージョンが上がったことで、Adobe Digital Publishing SuiteやEPUBといった電子書籍に関する機能が大きく進化しました。CS5.5でどんな機能が追加され、どんな事ができるようになったのかをデモを交えてご紹介させていただきます。


スピーカー:岩本 崇 氏(アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 クリエイティブソリューション第2部マネージャー)
デザイン会社、大手サービスビューロー経て、2004年にアドビ システムズ社に入社。llustrator、InDesignなどの、DTPデザインツールを担当。一貫して広くデザイン、印刷市場へ最新製品を訴求。本年からその守備範囲が広がり、Digital PublishingとWeb市場も兼務、新たにDreamweaverとFireworksも担当製品に、本人曰くわかりやすい説明を信条としている。
Adobe Illustrator&InDesign日本製品担当者Blog『いわもとぶろぐ


■パネルディスカッション(参加予定者)
 紺野 慎一氏(凸版印刷株式会社
 中村 美香氏(Adobe Systems Incorporated クリエイティブ&インタラクティブ ソリューション
 デジタルパブリッシング プロダクトマネージャー)
 岩本 崇氏(アドビ システムズ株式会社
 YUJI(InDesignの勉強部屋
※参加予定者は追加・変更になる可能性があります。

■タイムテーブル(予定)
14:00〜14:05 ごあいさつ
14:05〜15:05 Session 1 覚えておこう! InDesign使いこなし術
15:05〜15:15 休憩
15:15〜16:15 Session 2 脱・食わず嫌い! 今こそ使い倒そう『レイアウト調整』機能
16:15〜16:30 休憩
16:30〜17:30 Session 3 InDesign CS5.5の魅力!
17:30〜17:55 パネルディスカッション
17:55〜18:00 ごあいさつ
18:00〜19:30 交流会

■懇親会(交流会の後、席を変えての飲み会となりますので、希望者のみ申し込んでください)
時間:19時30分頃〜
場所はセミナー会場近くの居酒屋を予定しています。料金は実費です。
詳細が決まりましたら、後程お知らせいたします。

■お願い
※勉強会が近づきましたら、参加者には受講票をメールさせていただきます。
 セミナー当日はプリントして受付にご提示ください。
※当日はネームタッグをご用意いたしますので、名刺を1枚お持ちください。
※USTREAMでの中継や動画撮影は禁止とさせていただいております。
※キータイプの音が気になる方もいらっしゃいます。
 セミナー会場でパソコンを使用する際には、回りの迷惑にならない範囲でご使用ください。

※セミナーは先着順にて受付し、定員に達し次第受付を締め切ります。
※重複してお申し込みはできません。
※部屋の温度調整は行いますが、座る場所によっては寒いといったケースがあるかもしれません。ひざ掛けやカーディガン等をお持ちいただくと良いかもしれません。
※申し込みのキャンセルや申し込み内容の変更、ご質問等がありましたら、「お問い合わせ」ボタンからご連絡下さい(その際には登録番号をお知らせください)。