InDesign CS4では、[ファイル]メニューから[プリフライト]コマンドがなくなり、新しく「ライブプリフライト」という機能が搭載されました。プリフライトの作業は、これまでドキュメントを印刷会社等に入稿する際に行うことが多かったかと思いますが、「ライブプリフライト」では、作業中つねにプリフライトを実行してくれ、問題点がある場合にはすぐに教えてくれます。
問題がない場合は緑色で「エラーなし」、問題がある場合には赤色でエラーの個数がドキュメント左下に表示されます(下図参照)。
エラーがある場合には、上図の文字の部分をダブルクリックします(ポップアップメニューから[プリフライトパネル]を選択してもOKです)。すると、[プリフライト]パネルが表示されます(下図)。
[プリフライト]パネルにはエラーとそのページ番号が表示されるので、各エラーを選択して「情報」欄で詳細なエラー内容を確認します。エラーを修正する必要がある場合には、エラー項目をダブルクリックして、実際のエラーの箇所に移動します(下図)。
あとは必要に応じて修正を行えばOKです。
なお、デフォルトの設定では、[基本]という名前のプリフライトプロファイルが指定されており、チェックしてくれるのは「不明および変更済みのリンク」「オーバーセットテキスト」「環境にないフォント」のみです(下図)。RGB画像のチェックなどは行われませんので注意してください。
ライブプリフライトの一番のポイントといえるのが、チェックする項目を自分で指定できる点です。[プリフライト]パネルのパネルメニューから[プロファイルを定義]を選択すると、[プリフライトプロファイル]ダイアログが表示されます(上図)。
「+」アイコンをクリックして、新規のプリフライトプロファイルを作成し、名前を付けたら、あとはチェックする項目を指定していきます(下図)。
指定できる項目を見ていただくと分かりますが、画像の最大・最小解像度や最小線幅など、これまでチェックできなかった多くの項目が指定できるようになっています。
各項目の指定が終わったら「OK」ボタンをクリックしてプロファイルを登録します。あとは[プリフライト]ダイアログの[プロファイル]に目的のものを指定してあげれば、そのプロファイルの内容でチェックをしてくれます。下図は、最初に「2個のエラー」と表示されたドキュメントを新しく作成したプロファイルでプリフライトしたものです。チェックする項目を増やしたために、「12個のエラー」とエラーの個数が増えたのが分かります。
以下にInDesign CS4でプリフライト可能な項目を書き出してみます。
リンク
- 不明および変更済みリンク
- OPIリンク
カラー
- 必要な透明ブレンドスペース
- CMYK RGB
- シアン、マゼンタまたはイエロープレートは使用できません
- カラースペースおよびモードは使用できません
- RGB CMYK 特色 グレー Lab
- 特色の設定
- 許容される特色の最大数:
- 定義済みの特色で必要な設定:
- Lab値を使用 CMYK相当を使用
- InDesignで適用されたオーバープリント
- 白または[紙]色に適用されたオーバープリント
- 適用された[レジストレーション]
画像とオブジェクト
- 画像解像度
- カラー画像の最大解像度:
- カラー画像の最小解像度:
- クレースケール画像の最大解像度:
- クレースケール画像の最小解像度:
- 1ビット画像の最大解像度:
- 1ビット画像の最小解像度:
- 配置されたオブジェクトの縦横の比率を固定しない拡大/縮小
- 透明度を使用
- 画像のICCプロファイル
- プロファイル設定によりCMYK変換される可能性があります
- 任意のプロファイルのオーバーライド
- 埋め込みプロファイルがない画像を除外
- レイヤーの可視性オーバーライド
- 最小線幅
- 最小線幅: mm
- 複数のインキまたは白を使用する線に制限する
- インタラクティブ
- 裁ち落とし/トンボの危険性
- ライブ領域(トンボからインセット):
- 上 mm 下 mm 左/内側 mm 右/外側 mm
- ノド元に近いオブジェクトをチェック
テキスト
- オーバーセットテキスト
- 段落スタイルと文字スタイルのオーバーライド
- フォントスタイルのオーバーライドを無視
- カーニング/字送りのオーバーライドを無視
- 言語のオーバーライドを無視
- カラーのオーバーライドを無視
- 環境にないフォント
- 見つからない字形
- ダイナミックスペルチェックでエラーを検出
- フォントタイプは許可されていません
- 保護されたフォント
- ビットマップ
- OpenType CFF
- OpenType CFF CID
- OpenType TT
- TrueType
- Type1マルチプルマスター
- Type1
- Type1 CID
- ATC(Adobe Type Composer)
- 縦横の比率を固定しない拡大/縮小
- 最小文字サイズ
- 最小文字サイズ: Q
- 複数のインキまたは白を使用するテキストに制限する
- 相互参照
- 相互参照が期限切れです
- 相互参照が未解決です
- 条件テキストインジケータをプリント
ドキュメント
- ページのサイズと向き
- 幅 mm 高さ mm
- 方向を無視
- 必要なページ数
- 指定値を使用 最小 最大 倍数
- 白紙
- ページにマスターページアイテムしか含まれない場合、空のページとして認識
- ページに印刷しないアイテムしか含まれない場合、空のページとして認識
- 裁ち落としと印刷可能領域の設定
- 裁ち落としのサイズ:指定値を使用 最小値 最大値
- 上 mm 下 mm 左 mm 右 mm
- 印刷可能領域のサイズ:指定値を使用 最小値 最大値
- 上 mm 下 mm 左 mm 右 mm
なお、プロファイルは、読み込みや書き出し可能ですので、他の作業者とやり取りすることもできます。また、プロファイルはドキュメントへの埋め込みも可能なので、異なる作業環境でドキュメントを編集するようなケースでは、埋め込んでおくとよいでしょう(下図参照)。
※プロファイルの埋め込みは[プリフライト]パネル右上にあるアイコンをクリックして埋め込むこともできます。