今回のDTPの勉強部屋は、2012年5月11日のAdobe Creative Suite 6の発売を受けて、「CS6最速レビュー」として開催いたしました。Session 1では今回で3回目の登壇となる「撮影ドットネット」の渡邊和仁さんからPhotoshopの新機能や強化された機能をご紹介いただきました。プチセッションを挟み、Session 2では当勉強会を主宰するYUJIさんがIllustratorとInDesignを紹介されました。
Session 1:CS6最速レビュー(Photoshop編)
スピーカー:渡邊 和仁 氏(撮影ドットネット)
Session 1では、「撮影ドットネット」のプロデューサーであり、レタッチアーティストである渡邊和仁さんからPhotoshop CS6とその変更点をご紹介いただきました。
始めにパッケージ構成の解説から入られました。Extended版と通常版の違いに触れ、CS5.5までは、動画、3D、解析ツール等がExtended版のみの機能であったが、CS6では通常版にも動画機能が搭載され、プロのフォトグラファでも通常版を選択できるようになったと述べられました。
デモではPhotoshop CS6の方向性と新機能を紹介されました。先ずインターフェースの変更から入り、自動保存機能、プリセットの読み込み、Adobe Mercury Graphics Engine、レイヤーの新機能、切り抜き、画像の水平補正、遠近法の水平、色域指定、Camera Raw等を紹介されました。
新製品の機能の方向性として、撮影者やカメラの苦手を自動的に補正していこうという姿勢が伺えるとまとめられました。Lightroomでは回転や切り抜きといった編集内容をパラメータで持ち元画像を非破壊のまま編集するが、Photoshopでは編集してしまうという違いがあり、Lightroomと同様に非破壊編集となると良いのではないかと締めくくられました。
プチセッション:
今回は6名の方からご発表いただきました。
スピーカー:石井悦志氏(CSS Nite in NAGOYA)
2012年6月9日と10日に開催されたWeb制作者向けのセミナーイベント「CSS Nite in NAGOYA ♭002」の告知をされました。各講座の概要とテーマ別の組み合わせ例を紹介され、DTPユーザーに向けたこの催しの楽しみ方も提案されました。
スピーカー:山中由莉氏(株式会社ニューキャスト)
「クラウドサービス活用術」として、Microsoft OfficeとGoogle Docsを比較してクラウドサービスの利点を紹介されました。セキュリティに不安があると言われるクラウドサービスについて、メリットの方が大きく利用する価値があると締め括られました。
スピーカー:松谷直人氏(株式会社エスケイワード)
外国語組版の世界を紹介されました。近年在日外国人や観光客・留学生向けのツールの需要が増加しており、言語も従来主流であった欧米語に、北欧・東欧・アジア等が加わり多様化していると述べられました。加えて、自ら作成された外国語による組版の見本帳を披露されました。
スピーカー:神澤有希恵氏(画家・Webデザイナー)
Facebookやmixi等の使われ方を自らの体験を通して分析されました。「疲れた」「波は去った」「活用せねば……」等の声も聞かれる状況に、ストレスのない使い方やマナーを提案されました。まとめとして「何よりもSNSを楽しみましょう」と呼びかけられました。
スピーカー:的場仁利氏
2012年5月25日(金)から30日(水)にかけて大阪市北区で開催された「写植の時代 2〈書体・組版〉展」の告知をされました。日常の中でよく見かける書体を取り上げ、それらがDTPのものではなく写植によるものであることを紹介し、関心を集めました。
スピーカー:柴田勉氏(株式会社ノア・デジタル)
2012年5月25日(金)(名古屋)と6月22日(金)(大阪)に、開催されたセミナー「デジタルブック・電子書籍で営業支援」の告知をされました。デジタルブックや電子書籍を推進する立場から現在の取り組みを披露され、参考として無店舗でカタログをとりだせる旅行会社や求人誌のウェブサイトを紹介されました。
Session 2:CS6最速レビュー(Illustrator、InDesign編)
スピーカー:YUJI氏(InDesignの勉強部屋)
Session 2ではデザイナーであり、DTP関連の執筆、セミナー、トレーニング等をされている、「InDesignの勉強部屋」の主宰者YUJIさんがIllustrator、InDesignの新機能や強化された機能をデモを交えて、精力的に紹介されました。
先ずIllustratorから入り、このソフトのシンボルである女神の行方の話題に触れられました。デモでは、Webモードで16進数で色指定できるようになったこと、パネルの機能強化、トレース精度の向上、Adobe Mercury Performance Systemによる高速化、より簡単になったパターンの編集、線へのグラデーション適用等を紹介されました。
後半ではInDesignを紹介されました。デジタルパブリッシングとして、ページサイズに「iPad」「iPhone」「Kindle Fire/Nook」「Android 10」の電子書籍端末用の設定が加わった事、プライマリテキストフレーム、EPUBやFolioへの書き出しを前提としてHTMLの挿入が可能となったこと、代替レイアウト、設定値に合わせて段数を調整するリキッドレイアウト等が紹介されました。印刷の方面には更に充実し、電子書籍の方面へと領域を広げつつある新しいInDesignを紹介されました。
レポート:壱岐孝平、的場仁利