第19回勉強会終了報告

今回の『DTPの勉強部屋』は電子書籍をテーマにお送りしました。Session 1では『Timeline thinking』の境祐司さんが電子書籍を取り巻く業界の総論を解説され、複数存在するプラットフォームの特性やワークフローを紹介されました。Session 2では『InDesignの勉強部屋』のYUJIさんから、電子書籍の作成形式として注目されている「EPUB」の実際の作成方法と、10月25日に発表されたばかりのAdobe Digital Publishing Suiteの紹介が行われました。また、好評の「プチセッション」と講演後の「交流会」も行いました。

Session 1:電子書籍フォーマットの「特性」と「表現力」を学ぶ
スピーカー:境祐司氏(Timeline thinking


導入では、書籍の電子化は「書籍=電子書籍」と「まったく新しい本のカタチ」の二系統で進むとされました。さらに、InDesignを使う技能、CSSを使う技能、それぞれの専門性に触れられ、エディトリアルデザイナーとウェブデザイナーが協業し案件によって両者の比重をコントロールし対応することが行われているという電子書籍制作の実情が紹介されました。
本編では電子書籍に関する、プラットフォームの種類、Webとの違い、著作権保護の仕組み、各フォーマットやアプリの特性、ワークフロー、各フォーマットの持つ表現力、フォーマットとプラットフォームの選び方等を総合的に紹介されました。
電子書籍の在り方においても「紙の本を売るため」のものと「電子書籍を売るため」の二つのアプローチがあるとし、従来の出版と電子書籍の両方によって業界を拡大することがよいのではないかという考えが述べられました。最後に「2010年はタブレット元年であった。来る2011年こそ電子書籍元年である」として締めくくられました。

プチセッション:

今回は6組の方から発表がありました。

スピーカー:尾花暁氏あかつき@おばなのDTP稼業録
iWork PagesからのEPUB書き出しについてのデモンストレーションをされました。
スタイル名や画像名に日本語を使ってもそのままEPUBに書き出せるメリットなどが紹介されました。

スピーカー:amipokonkoko_hythokori
一緒にカメラ撮影をする仲間「カメ友」の募集をされました。
参加募集や活動報告は随時twitterで行います。
メンバーをフォローするか、ハッシュタグ「#cametomo」付きのtweetをチェックお願いします。

スピーカー:加納佑輔(グラフィックデザイナー)
フリーグラフィックデザイナーとして活躍中であり、手がけた仕事の事例紹介をされました。

スピーカー:川原正隆氏株式会社ニューキャスト
DTPの現場では、「その時に情報を全員でシェアすることによる即効性が重視されるべき」として、そのためのコミュニケーションツールとしてチャットの導入を提案されました。
また、Wiki書式を中間データとして、IDMLやEPUBに持って行く方法を提案されました。

スピーカー:橋内渚氏株式会社ニューキャスト
ムービーが入れられるiPad用のEPUBでのHTML5の利用を紹介されました。CADから3Dのモデリングを行い、ムービーとして表示する様子を紹介されました。

スピーカー:伊達千代氏(株式会社TART DESIGN OFFICE)
最近デザイン料が作業量込みにされるなどギャラが下がった印象が強いとし、同業者向けて「受注を待つのではなく、デザインをひとつのソリューションとしてクライアントに提案すべきでは」との提案をされました。

Session 2:EPUBを理解し、EPUBの作成方法を知る
スピーカー:YUJI氏(InDesignの勉強部屋


Session 2の前半では、InDesignからのEPUB書き出しを紹介しました。電子書籍には様々なものがありますが、その中でもEPUBはリフロー型フォーマットのひとつであり、今後のデファクトスタンダードとなることが予想されます。縦書き表示やルビなど、日本語表示のための機能に課題がありますが、次の仕様であるEPUB 3.0では、それらを追加したフォーマットとなる見通しです。
InDesignから直接EPUB形式に書き出せますが、さまざまな制限があります。現状、EPUBに書き出すためにはあらかじめInDesign側で手を加える必要があり、さらに書き出したEPUBを編集する必要があります。実際にInDesignから書き出したEPUBを、SigilやDreamweaverを利用して編集する方法を紹介しました。今後の展開を見据え、ファイル名・スタイル名および全テキストへのスタイル適用等、構造化を考えたデータ制作が必要と説明しました。
後半では、Adobe Digital Publishing Suiteを紹介しました。デジタルマガジン用の新しいソリューションで、現在、Adobe Labsでベータ版が公開されています。配信や販売、分析といったサービスに対して課金されることになりますが、日本での料金や開始時期、詳しいサービスの内容はまだ未定とのことでした。コンテンツ生成は無料なので、InDesign CS5ユーザーであれば是非ダウンロードして試してみてくださいとのことでした。

レポート:壱岐孝平的場仁利



キャンセル待ち&懇親会会場

第19回勉強会ですが、おかげさまでたくさんのお申し込みをいただき、早々に埋まってしまいました。
ありがとうございます。
大変申し訳ありませんが、以後キャンセル待ちとなります。
キャンセル待ちを希望される方は、以下のアドレスまでメールをお願い致します。
yuji@super.email.ne.jp

また、第19回勉強会後の懇親会会場が決定しましたのでお知らせいたします。

場所:世界の山ちゃん 長者町店
   地下鉄丸ノ内駅5番出口徒歩2分・地下鉄伏見駅1番出口徒歩3分
   TEL 052-232-1771
時間:午後7時40分~
料金:4,000円

よろしくお願い致します。


第19回勉強会のお知らせ

第19回勉強会の開催が決定しましたのでお知らせいたします。今回は『電子書籍』をテーマに勉強会を開催します。セミナー(および懇親会)参加希望者の方は、「勉強会お申し込み」ボタンからお申し込みください。

なお、セミナー終了後にその場で交流会を開催させていただきます。日頃、同業他社の方と話をする機会が少ない方も、ぜひ交流を図って情報交換等をしていただければと思います。交流会ではソフトドリンクとスナック菓子をご用意する予定ですが、もし良ければ、当日、お菓子等を提供していただけると助かります。

■勉強会
日 時:2010年11月27日(土)14時00分~19時30分
    【セミナーは14時~18時、交流会は18時~19時30分を予定しています】
    (13時30分より受付開始)
会 場:大洋薬品ビル丸の内店 大洋薬品工業株式会社 旧本社ビル4階
    〒460-0022 名古屋市中区丸の内二丁目16-29
    地下鉄桜通線・鶴舞線「丸の内駅」2番出口より徒歩約1分
    ※前回と会場が異なりますので、ご注意ください。
定 員:100名
受講料:2,000円(希望者には領収書を発行できます)

■内容(予定)
Session 1:電子書籍フォーマットの「特性」と「表現力」を学ぶ
1. プラットフォームを理解する
・海外のプラットフォーム(Amazon, Apple, Sony, Barnes & Noble...)
・国内のプラットフォーム(電子書店パピレス、電子文庫パブリ、理想書店...)

2. フォーマットの「特性」を理解する
・文芸書などに適した「テキストベース」のフォーマット
・雑誌や漫画などに適した「ページを画像化した」フォーマット
・画像ベースでテキストも表示するハイブリッドなフォーマット
・アプリケーションソフトとしてつくられる電子書籍

3. ワークフロー(作業の流れ)を理解する
・Kindle StoreやiBookstoreで販売する電子書籍をつくる流れ
・App Storeで販売するアプリ版の電子書籍をつくる流れ
・理想書店で販売する電子書籍をつくる流れ

4. 電子書籍の「表現力」を理解する
・組版レベル
・レイアウト
・ビジュアル
・マルチメディア

5. 電子書籍フォーマットとプラットフォームの選び方
・電子化する書籍のタイプは?
・対象とする読者は?(読書端末として利用可能なデバイスを所有しているか?)
・予算と製作期間は?
・電子書籍を購入したユーザーのサポートは可能か?
・アクセシビリティに配慮されているか?

スピーカー:境 祐司(さかいゆうじ)氏(Timeline thinking) Twitter
インストラクショナル・デザイナーとして学校、企業の講座プラン、教育マネジメント、講演、書籍執筆などの活動を行う。2000年より情報デザイン関連のオンライン学習実証実験を始める。モバイルを活用した新しい学習環境を提案、専用ネットワークにて実験サイトcommon style.を運営。教育デザイナー育成を目的としたフォーラムを立ち上げるため準備中。 教育プロジェクト「デザインの未来代表。現在、電子書籍・電子出版に関する有料メールマガジン「週刊イーブックストラテジー」を発行中。また、電子書籍についての記事(読むウェブ 〜本とインタラクション)をgihyo.jpで連載中。

主な著書に「Webデザイン標準テキスト ―変化に流されない制作コンセプトと基本スタイル」(技術評論社)、「デザイナーなら絶対知っておくべき Webデザイン50の原則」(ソフトバンククリエイティブ)、「Webデザイン&スタイルシート逆引き実践ガイドブック」(ソシム)、「Flash逆引きデザイン事典」(共著/翔泳社)、「スタイルシートデザインのネタ帳」(監修/MdN)、「Making a Rule for Web Design」(ソーテック)、「CSSビジュアルデザイン・メソッド」(毎日コミュニケーションズ)、「XHTMLマークアップ&スタイルシートリフォームデザインガイドブック」(ソシム)など。

Session 2:EPUBを理解し、EPUBの作成方法を知る
ひとくちに電子書籍と言っても、その形態はさまざまです。アプリケーションタイプのものもあれば、iPadのiBooks等で閲覧可能なEPUBフォーマットもあります。今回はEPUBにスポットを当て、お話をさせていただきます。InDesign、Sigil、Dreamweaver等を使用し、どのようなEPUBの作成方法があり、実際にどうやって作成していくのかについて、いくつかのパターンとそのポイントをご紹介していきたいと思います。
※プラスアルファで、EPUB以外の電子書籍のお話も予定しています。
 スピーカー:YUJI(InDesignの勉強部屋

■タイムテーブル(予定です)
14:00~14:05 ごあいさつ
14:05~15:25 Session 1 電子書籍フォーマットの「特性」と「表現力」を学ぶ
15:25~15:40 休憩
15:40~16:15 プチセッション
16:15~16:30 休憩
16:30~17:50 Session 2 EPUBを理解し、EPUBの作成方法を知る
17:50~18:00 ごあいさつ
18:00~19:30 交流会

■懇親会(交流会の後、席を変えての飲み会となりますので、希望者のみ申し込んでください)
時間:19時30分頃~
場所はセミナー会場近くの居酒屋を予定しています。料金は実費です。
詳細が決まりましたら、後程お知らせいたします。

■お願い
※勉強会が近づきましたら、参加者には受講票をメールさせていただきます。
 セミナー当日はプリントして受付にご提示ください。
※当日はネームタッグをご用意いたしますので、名刺を1枚お持ちください。
※USTREAMでの中継や動画撮影は禁止とさせていただいております。
※キータイプの音が気になる方もいらっしゃいます。
 セミナー会場でパソコンを使用する際には、回りの迷惑にならない範囲でご使用ください。

※セミナーは先着順にて受付し、定員に達し次第受付を締め切ります。
※重複してお申し込みはできません。
※部屋の温度調整は行いますが、座る場所によっては寒いといったケースがあるかもしれません。ひざ掛けやカーディガン等をお持ちいただくと良いかもしれません。
※申し込みのキャンセルや申し込み内容の変更、ご質問等がありましたら、「お問い合わせ」ボタンからご連絡下さい(その際には登録番号をお知らせください)。