今回のDTPの勉強部屋はAdobe Illustrator特集でお送りしました。Session 1ではイラレラボの川端亜衣さんよる、イラストレーションに光と透明感を演出する技法が披露されました。Session 2ではCSS Niteで有名なスイッチの鷹野雅弘さんから、Illustratorの作業を根本から見直そうという提案を込めた発表が行われました。また、新しい試みとして「プチセッション」と題したコーナーをスタートさせ、中部、関東、関西から5名の方に発表いただき盛りだくさんの内容となりました。


Session 1:「Illsutratorで光の表現と透明効果」
スピーカー:川端亜衣氏(イラレラボ

Session 1では、デザイナーの川端亜衣さんから「Illustratorで光の表現と透明効果」と題して、Adobe IllustratorのRGBモードを利用した斬新なイラストレーションの技法が紹介されました。
印刷物のデータ作成では一般的でないRGBモードで作業を行うという前提のお話しから入り、描画モードとその適用方法が説明されました。続いて、簡単な図形を用いて基本的な技法を紹介され、応用的な作例として光を放つぶどうや透明感のあるワイングラスのイラストレーション、アブストラクトなイメージと段階的に高度なものへと話題を移されました。
黒と白の部品の合成によって光のきらめきやリアルな透明感が生み出されていく様子に会場からは歓声があがり,正にRGBによるIllustratorの新たな扉が開かれた発表となりました。


Session 2:「古い作業スタイルに訣別しよう! 作業を効率化し、直しに強いデータを作るIllustratorのデータ制作の新しい流れ」
スピーカー:鷹野雅弘氏(スイッチDTP Transit

WebとDTPのどちらにも通じ、CSS Niteをはじめとするクリエイター向けの講演や著作を数多くこなす、カリスマ的存在である鷹野雅弘さんに登壇いただきました。
Adobe Illustratorの歴史などの基本事項をおさらいした上で、最新バージョンの特徴を説明。その機能を生かしたシンプルで効率的な作業法が数多く取り上げられました。
配色を共有するKulerの具体的な利用法や、鷹野さんも参考にするというサイト「イラレでべんり」などが紹介され、すぐに確認してみたくなる情報が随所にちりばめられた内容でした。
お子さんから「パソコンの先生として使えない」と言われているというユーモアも交え、程よいテンポとリラックスした雰囲気の講演でした。

プチセッション:
今回初の試みとしてプチセッションの時間が設けられました。5名の発表者がそれぞれ5〜10分の持ち時間で思い思いの発表をされました。

スピーカー:尾花暁氏あかつき@おばなのDTP稼業録
Illsutratorでcollect for outputを使用せずに配置画像を収集する方法を紹介されました。クラシック環境ではプレビューのために画像を再保存する必要があるなど、細かな注意点まで行き届いた内容でした。

スピーカー:山内翼氏ちらし屋ドットコム
Webと印刷を手がけるご職業柄、「Webと紙媒体の違い」というテーマで発表されました。それぞれの強み、弱みがわかりやすく整理された内容でした。加えて、山内さんのご家族の紹介もあるなど、アットホームで笑いの絶えない時間となりました。
スライドデータ:http://nty30.com/tsubasa/diary/dtp_20091010.html

スピーカー:的場仁利氏文字の旅人
「『文字研究会』のご案内」として、同研究会の紹介に関連して文字についてのいろいろな定義を紹介されました。印刷物と深く関わる文字について、「難しがらずに気楽に語り合おうじゃないか」として、名古屋の文字サークル「亮月研」の紹介もありました。
文字研究会:https://sites.google.com/site/mojiken/
亮月研:http://ryougetsu.net/

スピーカー:笹川純一氏吉田印刷所
PDF入稿時によくみられる、フォントの埋め込みがない、裁ち落としサイズでできていて塗り足しがないなどといったトラブルへの対処法の紹介がありました。当日、新潟から500kmもの道のりを自動車で名古屋入りされたという秘話も披露されました。
DTP+印刷営業メモ:http://d.hatena.ne.jp/jdash/
たまには書くぞDTP:http://dtp.jdash.info/

スピーカー:宮地知氏大阪DTPの勉強部屋
「大阪DTPの勉強部屋」の雰囲気と文字組みについてのお話をされました。「アプリケーションの機能に頼る前に、例えばジャスティファイがなかった頃の文字組みを考えてみては」という、長年組版に携わる立場からの原点に立ち戻った貴重な提言をされました。

レポート:的場仁利(文字の旅人)、山森和海