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No.07 スタイルのオーバーライドについて

段落スタイルや文字スタイル等、InDesignを使いこなすうえでスタイル機能は重要です。しかし、意外と知られていないのがオーバーライドの動作です。今回は、スタイル機能のオーバーライドについて見ていきたいと思います。
まず、「A」という名前の段落スタイルを適用したテキストを用意しました(下図)。



このテキストの「窮屈」という文字に下線を設定します。すると、段落スタイル「A」に+記号が表示され、オーバーライド(選択しているテキストと段落スタイルの設定内容に違いがある状態)になります(下図)。当たり前ですが、「下線」という書式属性が追加されたために、オーバーライド状態になったわけです。



今度は、「意地」という文字にモノルビを設定してみます。オーバーライド状態にはなっていません(下図)。





では今度は、モノルビからグループルビに変更してみましょう。すると、オーバーライド状態になっているのが分かります(下図)。





試しに、option(Windowsではalt)キーを押しながら段落スタイル名をクリックして[オーバーライド消去]を実行すると、「意」という文字だけにモノルビがふられてしまいます(下図)。つまり、段落スタイル「A」は、モノルビをベースとしたスタイルになっているということです。



次に「情」という文字を異体字の「情(右下が円)」に変更してみます。すると、オーバーライド状態になります(下図)。



この時、[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x60C5」「OTF:aalt(1) ccmp」と表示されています(下図)。



では、option(Windowsではalt)+クリックして、オーバーライドを消去してみましょう。すると、文字は元の「情」に戻ります(下図)。



[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x60C5」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。「情」と「情(右下が円)」はどちらも同じUnicode番号ですが、「OTF」の情報が異なるのが分かります。ちなみに、「aalt」とは「Access All Alternates」の略で、全ての異体字にアクセスするという意味のタグとなりますが、「情(右下が円)」という文字は「情」に異体字情報のaalt(1)を付与することで表示されていました。そのため、オーバーライドを消去することで異体字情報のaalt(1)が消去され、親文字である「情」に戻ってしまったというわけです。



では今度は、「高」という文字を選択してみます。[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD8」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。




[字形]パネルから「はしご高」に変更してみます。すると、オーバーライド状態になっているのが分かります(下図)。



この時、[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD9」「OTF:ccmp」と表示されています(下図)。



では、option(Windowsではalt)+クリックして、オーバーライドを消去してみましょう。このケースの場合、文字は「はしご高」のままで、オーバーライドも消去されました(下図)。



[情報]パネルを見てみると、「Unicode:0x9AD9」「OTF:liga ccmp」と表示されています(下図)。



このケースの場合、文字じたいは変わりませんが、オーバーライドは消去されました。なお、オーバーライド消去により、どのような情報が消去されたのかは、実行前に段落スタイルにマウスオーバーすると分かります。下図では、[欧文合字]と[前後関係に依存する字形]が消去されるのが分かります。



なお、「情」のケースと異なって、オーバーライド消去しても字形が戻らなかったのは、[字形]パネルで文字を置換した際に、置換前と置換後のUnicode番号が異なっていたからです。「高」のケースでは、0x9AD8から0x9AD9に変更されています。

ここでお伝えしたいのは、「見た目の文字は同じでも内部的には同じ文字ではない」といったケースがあったり、「オーバーライド消去することで文字が変わることがある」ので注意が必要ということです。
なお、CC 2015.3からは[スタイルオーバーライドハイライター]ボタン(下図赤丸部分)をクリックすることで、オーバーライド部分をハイライト表示できるので、ちょくちょくチェックするようにすると良いでしょう。詳細は、InDesign CC 2015『No.16 スタイルのオーバーライドマーカー』を参照してください。