InDesign CS2

No.25 SING その1

Adobe Creative Suite 2では、まったく新しく外字ソリューションであるSINGが導入されました。これまでフォントにない文字(外字)を使用する際には、Fontgrapherなどのフォント作成ツールで外字を作成したり、図形として作成した外字をインライングラフィック等にして配置していました。そのため、これらの外字を扱う際にはさまざまな問題点もありました。これらの問題を解決するために考え出されたのがSINGという外字テクノロジーです。SINGは、外字を1文字単位のフォントファイルとして保存し、対応アプリケーションに埋め込んで使用します。このフォントファイルをグリフレット(下図)と呼びます。グリフレットのファイルサイズは約4KBと非常に軽く、拡張子は「.gai」となります。



では、実際にどのようにグリフレットを使用するのかを3つの手順に分けて解説していきたいと思います。

  • その1 グリフレットの作成
  • その2 グリフレットの管理
  • その3 グリフレットの使用

です。まず今回は、「その1 グリフレットの作成」について記述いたします。

グリフレットの作成はIllustrator CS2で行ないます。まず注意していただきたいのは、Adobe Creative Suite 2 PremiumまたはStandardをインストールしないと外字を作成するプラグインがインストールされず、グリフレットを作成できません。グリフレットを作成したい場合には、PremiumまたはStandardを購入して下さい。

Illustrator CS2を起動し、書式メニューから[グリフレット]を選択します。すると[グリフレット]パレットが表示されますので、サブメニューから[新規グリフレット]を選択します(下図)。



[新規グリフレット]ダイアログが表示されるので、[親フォント1][親フォント2][字形]を設定します(下図)。親フォントを持たない記号などのグリフレットを作成する場合は「指定なし」、小塚フォントのようにPro版とStandard版があるフォントの場合は、[親フォント1]にPro版、[親フォント2]にStandard版を設定すると良いでしょう。なお、縦組み用と横組み用で異なる字形を作成する場合には[字形]に「縦横別」を選択します。
※[親フォント1][親フォント2]には、必ずしもPro版とStandard版を設定しなければならないわけではありません。[親フォント1]にゴシック、[親フォント2]に明朝のフォントを設定するなどしても問題はありません。同様に記号類に「親フォント」を設定してもかまいません。

今回は[親フォント1]に「ヒラギノ明朝W3」、[字形]に「縦横別」を選択してグリフレットを作成してみます。



「OK」をクリックすると、グリフレット作成用のガイド付きドキュメントが開きます(下図)。



文字ツールでドキュメント上をクリックし、テキストを入力します(図形等を作成、またはペーストしてもOKです)。この時、テキストはデフォルトである100ptで入力されます(下図)。グリフレット作成用のガイドも100pt用ですので、通常はそのままでOKですが、今回は「勉強部屋」で1文字となるグリフレットを作成したいと思いますので、文字サイズや行送りを調整します。なお、2文字の漢字の辺とつくりからグリフレットを作成するようなケースでは、アウトライン化した文字をダイレクト選択ツールやペンツールで編集して作業を進めます。



ちなみに、今回は「縦横別」のグリフレットを作成します。この場合、レイヤーは下図のようになり、横書き用と縦書き用で異なるレイヤーに作成しますので注意して下さい。



文字サイズを調整したら、位置を調整します(下図)。OKであれば、アウトライン化を実行します。この作業を横書き用と縦書き用でそれぞれ行います。



外字の作成ができたら、次にグリフレットパレットでさまざまな情報(メタデータ)を登録します。この時、警告マークが表示されている項目は必須項目です。入力しないとグリフレットとして保存できませんので注意して下さい。



A「字送り」
作成できるグリフレットは「全角」だけではなく、下図の中から選択することができます。なお「カスタム」を選択すると、右にあるフィールドがアクティブになり、任意の数字を入力することができます。例えば、「2000」と入力すれば二倍角のグリフレットが作成できます(単位は、全角で「1000」となります)。



B「作成者コード」(必須項目)
「作成者コード」には本来、フォントベンダーを識別するアルファベット4文字を入力しますが、コードを持っていない我々一般ユーザは、任意のアルファベットを入力すればOKです(入力できるのは4文字までの英数字で、ひらがなやカタカナは使用できません)。

C「枝番号」
グリフレットが異体字を複数持つ場合に、異体字番号を設定します。異体字を持たないグリフレットであれば、特に設定する必要はありません。

D「ユニコード」(必須項目)
ここには親文字として指定する文字のユニコード値を入力します。記号類など、親文字を持たない場合には[ユニコードなし]を選択します。なお、ユニコード値はU+68EEのように「U+」を先頭につけるか、〈68EE〉のように〈 〉で囲んで指定しますが、下図のように実際の文字を入力してもかまいません。実際の文字を入力する方法が一番手軽でお勧めです。
※複数のユニーコード値を指定することも可能です。その場合、「A,B,〈1234〉,U+5678」といったようにコンマまたは空白文字で区切ります。



E「CID」
グリフレットがAdobe CIDレジストリの字形に準拠している場合は、「ユニコード」と同様にCID値を指定できます。通常は、上図のように親文字となる漢字を入力し、親文字がない場合には空欄にしておけばよいでしょう。

F「言語」
グリフレットを指定する文字セットの言語を選択します。

G「部首」
グリフレットが漢字などの場合には、部首を設定します。[設定]ボタンをクリックすると[部首選択]ダイアログが表示されるので、適切な部首を選択し[OK]をクリックします(下図)。



H「総画数」
グリフレットが漢字などの場合には、総画数を設定します。

I「読み」(必須項目)
「ひらがな・カタカナ」または「ローマ字」のいずれかを選択し、「読み」を入力します。

J「作成者」
作成者の名前を入力します。

K「著作権」
著作権通知を入力します。

L「字種/書体分類/太さ/字幅の種類/斜体の方向/追加・更新
グリフレットパレットのサブメニューから[詳細情報]を選択すると、表示される項目です。それぞれ適切なものを選択します。なお「追加・更新」の項目では、グリフレットをフォントに追加するのか、置き換えるのかを設定できます(下図参照)。



「追加」を選択すると、グリフレットは既存のフォントに追加されます。他の3項目を選択すると、グリフレットは同一のユニコード値またはCID値を持つ字形を置き換えます。このオプションを使用すると、フォントベンダーは既存のフォントの字形をSINGグリフレットに置き換えることも可能です。通常は「追加」を選択しておきましょう。

グリフレットパレットでメタデータの登録が終わったら、サブメニューから[グリフレットの保存]を選択します(下図)。



フレームグリッドの行数は元に戻りましたが、見出しの前の空白行までは元に戻りません。この現象を回避するには、見出しの前の段落の任意のテキストを打ち直します。例えば、「あ」という文字を選択し「あ」と再入力します。



これでグリフレットが書き出されましたので、ドキュメントを閉じます。なお、このドキュメント(グリフレットファイルではない)は捨ててしまってもかまいませんが、再利用する予定があれば保存しておきましょう。

※書き出されたグリフレットは、文字のアウトライン情報とメタデータを持っており、ヒント情報などはありません。しかし、Adobe Creative Suite 2に添付されている小塚フォントのグリフレットには、ヒント情報もあるそうです。

(補足)
Illustrator CS2のドキュメント上で入力された文字からグリフレットを作成することも可能です。この場合、入力された文字を選択し、書式メニューから[選択された文字からグリフレットを作成]を選択すると、グリフレット作成用のドキュメントが開きます。ただし、既にアウトライン化済みのテキスト、または2文字以上を選択している場合には、[選択された文字からグリフレットを作成]は実行できませんので注意して下さい。