今回のDTPの勉強部屋は、Session 1では株式会社広告製版社に所属する一方、個人でも多彩な発信をされている野口尚子さんから、「版にアプローチするPhotoshop TIPS: CTPをHackせよ」として、Photoshopによる製版を意識したデータの作り方をお話いただきました。Session 2ではエディトリアルデザイナー/DTPオペレーターであり、欧文タイプセッターであるコントヨコさんから、「InDesignで欧文組版─基本操作と欧文文字・段落の扱い方─」として、InDesignにおける欧文組版の実践についてお話いただきました。


Session 1:版にアプローチするPhotoshop TIPS: CTPをHackせよ
スピーカー:野口 尚子 氏印刷の余白Lab.

Session 1では製版会社でプリンティングディレクターをされる一方、個人でも「紙ラボ!」としてセミナーやワークショップの講師を行い、共著『印刷・加工DIYブック』『特殊印刷・加工DIYブック』(共にグラフィック社)に執筆し、2012年6月に『Play Printing―しくみを知って使いこなす、オフセット印刷、紙、インキ』(BNN新社)を刊行された野口尚子さんから、Photoshopによる製版を意識したデータの作り方をお話いただきました。
始めに「ハーフトーンスクリーンで網点化」として、網点の形状と角度や解像度をコントロールし、網点分解されたような画像の作り方を紹介されました。
次に「GCRを使ったダブルトーンの作り方」として、効果的なダブルトーン画像の作成の仕方を解説し、実演されました。
続いて2色でもパンチのある画像を作ることができる方法を「チャンネルミキシングと多色刷り」として紹介され、加工する画像と元画像を比較しながら、どの色をどの版で出力するのかイメージしながら行う形で進められました。
実験としてイメージセッターにぴったりの2階調パターンを作成し、ここから作られた極小のイラストが描かれた刷版を披露し会場を沸かせました。


Session 2:InDesignで欧文組版―基本操作と欧文文字・段落の扱い方―
スピーカー:コン トヨコ 氏I Love Typesetting

Session 2では株式会社講談社インターナショナル、「週刊ダイヤモンド」デザイン室を経て、現在エディトリアルデザイナー/DTPオペレーターであり、欧文タイプセッターでいらっしゃるコントヨコさんから日本語版InDesignによる欧文組版の実践についてお話いただきました。
基本用語の確認から入り、日本語版InDesignの特徴を述べられ、「こんな組版よく見かけませんか?」、「より美しい欧文組版」として、組版を無理がなく自然で、より美しいものにする方法をデモを交えながらプレゼンされました。
日本語版InDesignを使う上での3つの大きな壁として「段落スタイル」「フレームグリッド」「文字組み空き量設定」があり、加えて欧文組版には「ハイフネーション」に気を遣う必要があると述べられ、「言語」「コンポーザ」「カーニング」の3つの設定を丁寧に説明されました。トラッキングのデフォルト値、キーボードショートカットからしかアクセスできない単語間隔の調整、ジャスティフィケーションによる行の調整方法等、講師の豊富な経験およびネイティブの読者へのヒアリングに基づく様々な解説をされました。
最後に、手元に置きたい書籍として、高岡昌生『欧文組版―組版の基礎とマナー』、小林章『欧文書体―その背景と使い方』(共に美術出版社)を紹介され締めくくられました。

レポート:壱岐孝平的場仁利