今回のDTPの勉強部屋は、DTPサイト「DTPの壷」を運営される大橋幸二さんによる「脱PostScriptで変わるデータメイキング」と、製版会社を経営される山田学さんによる「出力側から見たニューワークフロー」として、全編製版工程に関する話題となりました。


Session 1:「脱PostScriptで変わるデータメイキング」
 スピーカー:大橋幸二氏(DTPの壷
「新しいアプリケーションを使うと仕事が楽になる」という考えを、「最終訂正は製版で行うのが常識」、「フォントは全てアウトライン化する」というような現在のフローの問題や、「透明機能の制限」、「非破壊編集が困難」といった機械的性能の限界を一つひとつ紐解き、DTPの初期から今日まで印刷業界に長く鎮座しているPostScriptをベースとしたフローの問題点を提起。プレゼンテーションとデモを交えて最新のアプリケーションやPDFフローの優位性を分かりやすく解説されました。


Session 2:「出力側から見たニューワークフロー」
 スピーカー:山田学氏(大寳製版株式会社
浮世絵の制作工程において、版屋は絵師と刷屋の間で単に版を作っていただけではなく、実は原画を分析し、刷り順を決め、品質の要となっていたという製版の黎明期のお話から始まり、伝統的な製版技術、画像と文字が別々に処理されていたページ記述言語の初期のお話、PDL→PostScript、Macintoshの登場まで、歴史の流れを順序だてて紹介。また、印刷だけでない製版の領域や時代ごとの製版の技が多数の資料や製品の現物とともに披露され、参加者からは「おー」という喚声があがっていました。
残念ながら予定の時間内に収まらず本題の「ニューワークフロー」の部分には触れられませんでしたが、懇親会等では多くの参加者から「続編や個々の内容をもっと深く聞きたい」という声が聞かれました。

レポート:的場仁利(文字の旅人