第42回勉強会終了報告

2017年5月27日(土)、「第42回勉強会」が名古屋のウインクあいちで開催されました。今回は、当勉強会ではおなじみの3人の、それぞれ実用性の高い内容でした。
Session 1は、Adobeソフトウェア関連のセミナーで全国を飛び回る、大倉照結さんによる、Creative Cloudの意外と知られていない実用テクニックや機能の紹介。
Session 2は、DTPオペレーター・イラストレーターとして活躍しつつ、DTPやデザイン関連の記事やブログの執筆で有名なhamkoさんによる、イラスト制作に役立つIllustratorのテクニックと機能の紹介。
Session 3は、昨年発売された『デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』の著者で、グラフィックデザイナーの樋口泰行さんによるレイアウトのテクニックや発想法に関する講演でした。

Session 1:イマドキ風!Creative Cloudアプリの使いどころ
スピーカー:大倉 照結 氏


ほぼすべてのCreative Cloudアプリに精通しているようにも思えるほど、幅広い守備範囲で毎回驚きを与えてくれる大倉さん。今回のSessionは、昔からAdobe製品を使用している人ほど知らなかったり、意外性を感じる内容だったのではないでしょうか。
簡単な自己紹介から入り、まずはCreative Cloudの基本的な情報の紹介。近年はモバイル用のアプリも増え、Creative Cloudを構成するアプリの数は数十になるが、アプリのアイコンは、デスクトップ用が四角、モバイル用が角丸のデザインになっているという見分け方を紹介。そして、Creative Cloudのアプリと機能は「仕事用」「プライベート用」それぞれに適したものがあり、使い分けると便利だと言います。
まず「データ送信編」では、仕事用のデータをファイルストレージ機能を使って共有する方法を紹介。次に「データ送信・校正」としてAcrobatの機能でサーバー共有→校正の流れをモバイルアプリで簡単に行う方法を、iPhoneを使ってデモ。「素材作成」ではCapture CCでパターン作成、「ページ作成」としてComp CCでデザインカンプの作成、「SNS活用」では、Spark、Post、Videoを使用したフォトブックや動画を作成、そして「飲み会ネタ」として使える自撮りアプリに使えるPhotoshop Fixなどの紹介がありました。
その他に、Photoshopを使用した簡単な「画像の引き延ばし方法」といった便利技の紹介もありました。
Creative Cloudは単体では完結せず、「クラウド」という言葉への苦手意識を持たずに、色々試しながら自分にとって便利な組み合わせを見つけることがお勧めということで、Sessionを終えました。

Session 2:イラスト制作のためのIllustrator ベクターでもっと自由に描いてみよう
スピーカー:hamko 氏ham factory


今回のSessionは、今年のpageで好評だったセミナーの改訂版で、名古屋では初めての講演内容とのこと。イラストを使いたいけれども時間や予算がない場合、自分で描くためのテクニックを紹介していただきました。
まずは自己紹介として、保育施設内の内装用イラストや『+Designing』誌でのカレイドインキのサンプル用イラストなどの事例を紹介。Illustratorを使用してのイラスト制作のポイントとして「パーツ単位で考え、パズルのように組み合わせる」「パーツの仕組みを考える」ことが挙げられるとい言います。そのパーツを作るうえで、役に立つツールが「ブラシ」であり、「散布ブラシ」「アートブラシ」「パターンブラシ」の3種類のブラシの特徴や使いどころを紹介。事例となるイラストデータのそれぞれの部品をどのようにして制作したかを、デモを交えて説明されました。作成したパーツを、ブラシとして登録することで、汎用性があり直しに強いデータが制作できるため、作業効率が上がるとのことでした。「複雑なもの」としてぬいぐるみの毛並みや、クラゲの触手、フリルの装飾なども「どのようにパーツに分解して」「ブラシを活用して、簡単に描くか」を説明されました。これらの複雑なものも、単純なパーツの組み合わせで構成されているため、イラストが苦手でも、トライしてみたくなるようなテクニックでした。
さらに、今回は名古屋での講演とのことで、しゃちほこのイラストをアナログ風なタッチで描く方法も披露されました。

Session 3:同素材から多くのデザインバリエーションを生み出す考えかた
スピーカー:樋口 泰行 氏(有限会社樋口デザイン事務所代表)


デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』(エクスナレッジ刊)や+Designingの特集記事で、レイアウトデザインのバリエーションを多く作る考え方を披露された、グラフィックデザイナーの樋口さん。
まずは、「なぜ複数案を作るのか」として「デザインの方向性を探る」「ターゲットや目的などを知る」「客観的に見る」「デザインを言語化する」という意味があり、それらは「クライアントと直接打ち合わせができない場合」や「メールのやりとりだけで仕事が完結してしまう場合」など、ほとんどのデザイナーであれば直面しているであろう、現実的な問題への対処法になるといいます。
サンプルとして用意された「キッチン雑貨店のフライヤーを制作する」という事例で、まずはフライヤーで使用される素材(イメージ写真・商品写真・文字要素)を提示。ここからバリエーションを作っていく方法として「レイアウトをアレンジ」「文字をアレンジ」「色や配色をアレンジ」「装飾を加えてアレンジ」という4つの考え方があり、実際にどのようなレイアウトが可能かを、完成されたデザインで紹介されました。それぞれ「イメージ写真を大きく見せたい場合」「複数の写真を見せたい場合」「文字をアレンジする場合」など目的別に、サンプルを紹介しながら、どのようなことに気をつければよいのか、や単調にならないためのコツなど、デザイン制作において実用的な考え方を、DTPのTipsなどを交えながらわかりやすく説明されました。
「さいたまDTP勉強会」で、このサンプルを使用したワークショップを開催したところ、50人が参加し、同一素材で100パターンのレイアウトができたとのことです。2017年9月27日にも、デザインバリエーションのワークショップを行うそうです。

レポート:加納 佑輔